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「い、犬?」
「失礼ね。この子は獣人のレイ君。臆病だから大きい音はたてないで。…そんなこともしらないの?」
いや、だってこんな獣人がいる世界の者じゃないんだもん。まさかここが別世界(異世界)だなんてな。
「れ、レイ君、寝る時間だよぉー。」
「う、うぅ。」
めっちゃ可愛いんですけど。
「眠い?」
「おねちゃ、だえ?」
「わ、私は加賀峰ユラギ。ゆ、ユラギ先生だよー(?)」
ま、まぁ、この子からしたら先生になるのかな?
「ちぇんちぇ、ちゃー」
「こんにちはぁー。」
か、可愛すぎる。レイ君、しっぽをブンブン振って私を見つめてる。
「おねんね出来る?」
「う。ごほんよんで。」
そう言われ本を見る。…なにこの文字。知らないんですけど。見た感じ白雪姫かな?
アドリブで言うしかない。
「あるところに、とても可愛い女の子がいました…」
レイ君はだんだんうとうとし始める。それがまぁ、可愛い。
「新人にしては上出来じゃない。」
「ま、まぁ。」
「どう?働く気になった?」
こんな可愛い子に会えるのなら喜んで。けど、ここは異世界。私のいつもの日常とこの子達の日常は違う。元の世界に帰れるかも曖昧だ。
「元の世界に行き来できるのなら、働かせて頂きたいです。」
「ははっ、要望の多い子猫だ。わかった、神に言っておくよ。」
「ありがとうございます。」
「そうだ、私はナギ。よろしく。」
私はナギさんにお辞儀する。
「要望、聞きましたよ。良いのですが、ここでのことは外部に漏らさないで頂きたい。万が一漏らせば、ここでの記憶は全て抹消させていただきます。」
「わかりました。」
そうして、私はこの幼稚園の先生となったのだ。
「おはようございます。」
家の玄関をくぐるとそこは異世界保育園
《リールベント》。ここでは様々な種族の子供達が通っている、かなりハチャメチャな保育園なのである。
「ユラギちゃん、おはよう!」
ここで働く人たちは皆優しい。人じゃなくても私に優しく接してくれる。例えばこの人、竜種の『ガゼリア』さん。見た目が怖くて子供達からよく逃げられる。
「おはようございます。今日はどの子を担当すればいいですか?」
「今日は調理に回って欲しいんだ。子供達の担当は足りてるから。」
「了解です。」
知らなかったけどここ、ご飯の時間になると食堂でご飯食べるんだね。
「ユラギさん、今日は調理に回るんだって?」
「は、はい。人手が足りないみたいで。」
「よかった。あたしも今日は調理なんだ。一緒に頑張ろう♪」
この猫耳の女性は私の後に入った『アルマ』ちゃん。かなり話しやすい。
「おはようございます!調理担当アルマとユラギです。」
「新人か。ようこそ調理場へ。俺は調理長のザラメだ。よろしく。」
ザラメさんはおたまを持ってそう言った。
調理場は物凄くいい匂いがした。
「なにをすればいいですか?」
「そうだねぇ、ユラギさんは味見をしてくれるかい?で、アルマさんはできた料理を各クラスまで運んでくれ。」
「了解です!」
私はザラメさんに着いていき、スプーンを持たされる。
「まずはこれ、リース草のスープ。」
少量のスープをすくい、口にいれる。
おいしい。
「一つ一つの味がしっかり出てておいしいです!」
「よかった。なにかいけないところとかあるか?」
「いえ、ありません。」
おいしすぎでほんとうに言うことが無さすぎる。
「次、奇獣の肉。」
また私は口に放り込む。
「…これ、ちょっと臭みが残ってて子供は嫌いかもです。」
「わかった。ありがとな。」
この肉、食べなくても臭みが分かるのにどうして分からないんだろう。
「あの、これ匂ったらすぐわかりますけど…。」
「あ、あぁ。」
ザラメさんの顔色がおかしい。
「どうしたんですか?」
「あぁ、…俺、鮫だから匂いわかんねぇんだ。」
あ、そういうことか。通りで歯が尖ってる…。
「ありがとな。助かった。ユラギさんがここで働いてくれるようになってすごい嬉しい。」
「いえ、こちらこそ採用していただき、ありがとうございます。」
あぁ、私、この職場が好きになりそう。
さて、明日も頑張るぞ。