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昔々
俺達の御先祖様が人間と恋に落ちたらしい
その恋は上手くいかず、お姫様は泡となり消えてしまったとか‥‥
なんでわざわざあんな危険な物達と関わろうとしたんだろう
外の世界に何があるというんだろうか?
それはそれで見てみたい気もする
揺らぐ水面のその上ではどんな暮らしをしているんだろう
今は誰もそれを知らない
伝説の姫の物語を教訓にして誰も近づかないからだ
恋も知らない俺が外を知ってどうするのか?
そんなの俺も知らない
でもこの狭い世界じゃない物を見たい
退屈に300年も生きたくはないんだ
「ロウ‥‥またお前は‥‥」
「あ、長老様‥‥俺は別に‥‥」
水面から顔を出そうだなんて思ってない
ただ上を眺めながら想像していただけ
「今年が16歳の誕生日だから、あなた様も上に出たいと言うのではないのですか?」
「それは‥‥‥‥」
「御兄弟の中であなたが一番不安です。ロウ‥‥あなたが色んなものに興味を持たれる事は構いませんが‥‥」
「大丈夫!俺ちゃんと朝日が昇り切るまでには戻って来るから」
行ける理由が出来たならば絶対見てみたい
俺は誕生日を迎えたその日の夜
1人で遠くから海面へ顔を出し、陸地へと近づいて行った
どうせなら天気のいい日が良かったのに
今日は生憎の雷雨
でも人間には見つかりにくい
少し離れた海面に何か浮いている
興味が湧いた俺はそちらに身体を潜らせた
海の中
何か‥‥沈んで行く
あれは何?
尾鰭を上下させそれに近づく
俺達の仲間?
違う‥‥
足がある!
あれは人間だ
絶対関係してはいけない‥‥
でも人間は海の中では死んでしまう
どうしよう‥‥
でも
俺は人間に近付き、体を掴むと海面に上がった
これって死んでしまったのだろうか?
どうしたらいいかなんてわからない
まだ少し遠い岸までとりあえず連れて行こう
荒い波の中岸までたどり着いた
岸の縁
俺はここまでしか上がれない
だって足が無いから‥‥
こんな波打ち際だったらまた波が来て海へ戻されてしまうだろうか?
俺に残された時間は後少し
大きな波が来るたびに人間の体を押さえて海に戻されるのを阻止した
もう直ぐ夜明け
俺は一体何をしているんだろう
目の前の人間を見る
俺達と変わらない顔‥‥体‥‥
そして俺達に無いもの
2本の足‥‥
波が落ち着き、小雨も止んだ
もうこのままでも大丈夫だろう
その時だった
「‥‥‥‥ん‥‥」
「‥‥!」
人間が目を覚ます!
早く海に潜らねば‥‥
バシャバシャと海へと戻ろうとする
その時俺の右腕を彼に掴まれた
「‥‥っ、君‥‥待って‥‥ 」
「‥‥離し‥‥‥‥」
「え‥‥‥それ‥‥」
彼は海の中の何かを見て俺の手を離した
ヤバい‥‥
俺が人じゃ無いことがバレた?
無我夢中で海底まで戻った
どうしよう‥‥
人間が総出で俺たちの事を捕まえに来たら‥‥
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コメント
4件
狼じゃない設定なの縛られてなくて好きです!!楽しみにしています
緩い気持ちで読んでみてね☺️
いや初っ端からワクワク🥹🫶💖