俺は1人トボトボと人間の重い体を引きずりながら廃墟に向かい足を進めていた。
「…はぁ…はぁ…。」(ズルズルズル…)
俺はいつもついてない。今日は特に酷かった。
幼なじみのすみれが目の前で自殺をしたからだ。 俺の目の前で屋上から飛び降りやがったのだ。 それで何故、廃墟に向かっているのかと言うと そこの廃墟には古くからの言い伝えで深夜12時
ぴったりにエレベーターに乗ると願いが叶うといわれていた。
目の前で幼なじみを失った俺は気がおかしくなったのかその迷信を信じエレベーターに向かっている。俺はエレベーターのボタンを押す。
壊れていると思っていたが直ぐに降りてきた。
それに乗り込むと屋上に向かうボタンを押す。
しかし5階に差し掛かった時エレベーターが止まった。扉も開かない。「クッソぉ。閉じ込められたか…」最悪のパターンだ。そう思っていると不意に物音が聞こえた。ガタガタガタ…がしゃーーん。。次の瞬間眩しいほどの光に包まれた。
その中で俺は無意識に願った。すみれを生き返らせて欲しいと。
ー気が付くと俺はエレベーターがあったであろう場所に突っ立っていた。ハッとし振り向くとやはりすみれの死体が転がっていた。
無意識にすみれを床に落としてしまっていたのだ。願ったが生き返った様子はない。デマだったのかと思ったが目の前には知らない空間が広がっており俺は現実に引き戻される。
「いらっしゃい」いきなり声を掛けられた。見るとシルクハットの男がそこにいた。帽子を深く被っているからか顔がよく見えない。
「誰だ。お前…もしかしてお前が俺の願いを叶えてくれるのか」俺が尋ねるとそいつは不気味に笑い首を振る。「私はこの世界の案内人である。自分の願いは自分で叶えたまえ。着いてこい」
そう言うとそいつは背を向け足早に歩き始めた。もしかすると何か知っているのかもしれないと感じた俺はそいつの後を追う。にしても早過ぎる。そいつは歩いているように見えるが俺が走ってやっとだ。すみれを落とさないように担ぎ直しながら進んでいくと教会のような場所が現れた。建物の中を歩いていると思っていたがどうやら違ったようだ。ここに来るまでに洋風の家が建ち並んでいた。そんな事を考えているとそいつは何かを詠唱し扉を開く。中にはひとつだけ水晶が置かれていた。俺はそいつの詠唱により水晶の目の前まで突き動かされた。「おわっ?!」随分とあれっぽいシルクハット野郎だ。
振り向くとそいつはニヤニヤと笑い首を動かす。どうやら水晶に手を乗せろと言っているようだ。恐る恐る片手を乗せると眩しい光に包まれた。
パァっと文字が現れた。
片桐 隆二 年齢18歳
体力Lv10 魔力Lv8 回復力Lv3 防御力Lv8
「おやおや?転生してすぐ魔力のある人間とは珍しい。もう何億年も案内人をしているが魔力のある転生者は初めてだ。なぁキミ。転生したばっかで家が無いだろう。ウチに来ないか?」
シルクハットは相変わらずニヤニヤと不気味な笑みを浮かべていた。確かに住む場所は無いが会ってすぐの不気味な男について行っても良いのだろうか。俺が悩んでいるとそいつはすみれの死体の髪をサラサラと撫でている。その様子に反射的に飛びのけた。「おい!すみれに触るんじゃねえ」
するとシルクハットは相変わらずニヤニヤと笑い「美人なお嬢さんをお連れですね。しかも死体を連れて転生して来る人間は初めて見た。私なら助けられるかもしれないんだがねぇ?」
そうこう話しているとシルクハットは空を見上げた。俺もつられて空を見上げるとネズミにコウモリの羽がついたような生物が群れをなして飛んできていた。「ギヘヘヘ、どうやら死体の匂いを嗅ぎ付けたんだろうねぇヤツらは。」
そう言い終わるか終わらないか次の瞬間一斉にそいつらが俺たち目掛けて突進してきた。
「すみれはお前らの餌じゃねえ!」どうにかして守りたいと思った俺は何故か脳内に浮かんできた言葉を詠唱する。死体を守ろうとする俺って変だよな。「」
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