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っぷ__。
吸い出した血と毒を地面に吐く彼。
「次、指な」
「…うん」
戸惑っているのを悟られまいと顔を背けて返事をする。
盗み見るようにしているとナイフで傷ついたもう一箇所の傷口がある人差し指に向かって口を開けていた。
前腕と同じように傷口を舐めて、だと思った。
それを躊躇なく咥えた。
傷口がある指の腹側。神経が通っている数が多いだけあって過敏に舌の動作を拾ってくる。
ザラザラと撫でつけるように舐め取られる。痛みやむず痒さはもはや感じなかった。
彼の口腔が湿ってて温かくて。
彼の仕草から視線から見てはいけないものを見るような気持ちで視線から外せないままでいた。
「…はぁ」
吐息が手全体にかかった。伏し目で指を咥える彼の幼い顔がちょっと艶っぽく見えて___。
想像してしまった。何とは言わない、言えない。駄目。いや、本当にまずい。違う。カゲツは僕の為に応急処置してくれているだけで。
じゅっ
「っ…」
そんな事を考えているタイミングで指を吸われた。
どくどく心臓がなっていた。彼に考えている事が全部バレていたらどうしようという気持ちでいっぱいだった。
___っぷ。
「はあー。そこまで毒性強いやつじゃないと思う。
一応吸い出せる分は吸い出したけど体に回っちゃった分もあるやろうからちゃんと病院行って処置してもらえ……… 何その顔」
困惑した表情の彼の目線を受けて顔が熱くなる。何も知らない無垢な目。
何故かこっちの気も知らないで、と怒りたくなってしまった。
「え、えっち!!!」
「は?何が?」
彼は小首を傾げて不服そうにそう言った。