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カタカタカタカタカタ・・・
薄暗い部屋でパソコンのタイピング音だけが響く。
パソコンを弄っていたブラックは、一息入れるため、珈琲を飲んでいると、
『カフェイン飲みすぎると背伸びないよ〜?』
「ブフッ!!」
パソコンにひょっこりと、少女、または少年なのか性別不明な少女(または少年)・クロンが突然パソコンに現れ、思わず噴きかけたブラック。
ゴホゴホッと気管に入ったようで咳をする。
『大丈夫そ?』
「貴女のせいなんですけど???」
そういうが、その子はくすくすと笑うばかり。
ブラックははぁとため息を付いた。
「・・・貴女、本当に人工知能なんですか?まるで普通に意思がある人間みたいですけど」
そうブラックが言うと、クロンは『あー』と答える。
『だって私、元“人間”だし』
「・・・は?」
ブラックは思わずそうこぼす。すると、クロンはパソコン内をふわりと一回転し、答えた。
『なんか、あんま覚えてないんだけど、私のパパ?だった人?、戦争で母と私を亡くして、パパだった人せめて私だけでも復活させるためにAI制作に手出して、また戦争で無くさないようにってことで戦闘型AIとして開発しようとしたんだって』
と、クロンはあっけらかんに話す。
『でも、私っぽくなくて、パパは壊れた。で、私を捨てちゃった』
あっさりと言うクロンに、ブラックはなにも言えなかった。それに気づいたクロンは笑う。
『・・・別にそんな辛そうな顔しなくていいよ?私が娘の私っぽくないから捨てられただけ。私はあの人を“パパ”と認識“は”しているけど、別にあの人に家族っていう愛は感じてないし』
そうクロンは答えた。
「・・・嫌じゃ、なかったんですか?たった一人の、家族に見捨てられるのは」
ブラックは、確かに酷いことは沢山された。殴られたり、怒号を浴びせられたり、でも、母も居なく、友人もいなかった自分には、たった一人の家族だった。・・・性格は最悪だったが。すると、クロンは答えた。
『そりゃ、凄い寂しかったし、悲しかった・・・でもね』
クロンは笑う。それはまるで、少女が笑うかのように笑顔をこぼした。
『・・・私を直してくれた人がいたの。私を拾ってくれて、私を直してくれて・・・その人、なんて言ったと思う?『貴女はあなたがしたいことをしなさい』っだってさ。面白かったな。私を“AI”とが“失敗作”とかでまとめなくて、まるで“人間の子供”みたいに扱ってくれて。凄い嬉しかった。だから、私はその人のためならなんだってやれる。なんだってできるんだ!』
そう彼女は笑う。その笑顔はブラックに眩しくて、少し羨ましかった。父と言える存在に捨てられてもなお、立ち上がる彼女(彼)の姿に、ブラックは少し憧れた。
「・・・いいですね。そんな人に出会えて」
そう言うと、クロンは突然ブフッと噴き出す。
「え!?なんで笑うんですか!?」
『いや・・・何でもなッ・・・プププッ』
と、クロンは笑うばかり、それにブラックはただ首を傾げるだけだった。