昔書いてた短編集が発掘されたので、ここに書かせていただきます。
 最初は少し中太風ですが、しっかり太中です。
 
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 風鈴が、ちりん、ちりん。となる夏。
 なにが風鈴は夏の暑さを和らげるだ。何も変わっちゃいない。
 そうつまらないことを考えていても汗は止まらず、だらだらと流れ続ける。
 ふと、隣にいる太宰をみる。
 太宰は包帯を取らず、あたしよりももっと、もっと汗を流しており、瞳もどこか、とろとろと少しずつ、とけていくような。どこか、アイスのような。
 そんな時に、太宰があたしの方に振り向き
 「ふふ、なんで私のことずっと見てるの?てか、ちゅうや。あせひどーい。」
 と、太宰は暑さで気が狂ったのか、ころころと笑う。
 ころころと笑う太宰をあたしはじぃーっと見つめる。
 そんなあたしが気に食わなかったのか、太宰もあたしを見つめてくる。
 あつーい、あつーい視線がこちらに向いている。なにか、なにかを訴えている。
 嗚呼、風鈴が、ずっとなりつづけている。
 太宰がこちらに近づいてくる。
 唇が、触れ合ってしまった。
 ぬるりと、なにか生暖かい、舌?のようなものが、あたしの口の中を犯していく。
 太宰を唇が離れる。
 つぅ、と銀色の糸が、あたしの唇に繋がっている。
 「ふふ、初めてキス。しちゃったね。」
 太宰はそういい、指をあたしの唇に当ててきた。
 夏の蒸し暑さは、まだ終わらない。そして、あたしの体温も、まだ下がらない。
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