テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第7話 ホントのキモチ
体育祭まで、あと一週間をきった。学校の中は、いつもよりずっと賑やかだった。廊下には体育祭のポスターが貼られ、教室からは応援練習の声が聞こえてくる。グラウンドでは、クラスごとに競技の練習をしている。俺たちのクラスも例外じゃない。
💚「暑い……」
💛「またそれ言っとるやん笑」
💚「だって暑いんだもん!」
グラウンドの端に座りながら、俺はうちわで自分の顔を仰いだ。今日は体育祭の全体練習。
🩷「じゃぱぱさんがんばって!」
💚「うわ〜ん、のあちゃん助けて〜」
🩷「じゃぱぱさんの好きなガトーショコラ作ってあげるから」
💚「ほんと?」
💛「情けなすぎやろ」
そして――。
ゆあんくんのクラスも、少し離れたところでリレーの練習をしていた。
❤️「次、俺です!」
ゆあんくんが立ち上がる。バトンを受け取ると、一気に走り出した。速い。やっぱり速い。あっという間に前の人を追い抜いて、最後まで走り切る。周りから歓声が上がった。
「ゆあん、やっぱ速いな!」
「本番も頼むぞ!」
「 アンカー任せた!」
❤️「うん!」
ゆあんくんは笑って答える。
でも――。俺は、その笑顔が少しだけ気になった。
💚「……」
💛「じゃぱぱ」
💚「ん?」
💛「気になっとるんやろ?」
💚「……うん」
たっつんも、ゆあんくんを見ていた。
💛「あいつ、また無理して笑っとるな」
💚「だよね」
少し前の相談を思い出す。期待されるのがしんどい。失敗したら、みんなに申し訳ない。自分が頑張らなきゃ。ゆあんくんは、きっと今もそんなことを考えている。
だけど――。
💚「どうしたらいいんだろう」
💛「……」
たっつんは少し考えてから、俺を見る。
💛「とりあえず、あいつをアンカーから降ろせとかは無理やろ」
💚「うん」
💛「ほんなら、アンカーでも気楽にいられるようにするしかないんちゃう?」
💚「気楽に?」
たっつんは笑った。
💛「体育祭なんやから、楽しまな損やろ」
💚「……それだ!」
俺はばっ!と立ち上がった。
💛「何が?」
💚「体育祭を楽しくする!」
💛「……お前、ほんま単純やな笑」
💚「褒めてる?」
💛「褒めてへん笑」
💚「知ってる!!」
俺たちは顔を見合わせて笑った。
そして――。昼休み。俺はゆあんくんを見つけた。
💚「ゆあんくーん!」
❤️「じゃぱぱ?」ゆあんくんは振り返る。
💚「一緒にお昼食べよ!」
❤️「え?」
💚「たっつんもいるよ!」
💛「どうも」
❤️「いいんの?」
💚「もちろん!」
ゆあんくんは俺らとは打ち解けられたのかいつの間にか俺らにタメ口になり呼び捨てまでしている。そうそう、ガキンチョはこれでいいん よ
❤️「え?なんか失礼なこと考えてる?いっとくけど俺じゃぱぱよりはオトナだからね?」
💛「それな」
💚「ゔっ!!」
なんでこいつ俺の心の声が分かるんだよ!
💚「ま、まーまー早くご飯食べよーよ」
俺たちは校舎裏の日陰に移動した。まだ少し早いけど、ここなら体育祭の練習の声もあまり聞こえない。
💚「そういえば、ゆあんくんって体育祭のお昼何食べる?」
❤️「え?」
💚「今年キッチンカー来るじゃん!」
❤️「来るね」
💛「じゃぱぱ、そこしか楽しみにしてへんやろ」
💚「そんなことないって!」
💛「たった今弁当食べてるのにキッチンカーのこと考えてんのかよ」
❤️「ふふっ」
ゆあんくんが笑う。
💚「ほら〜!また笑った!」
❤️「え?」
💚「最近、ゆあんくん笑うこと増えたよね!てことでそのウインナーちょうだい」
❤️「そう?おいウインナーとんな」
💛「うん。前より自然になった気はする」
ゆあんくんは少しだけ驚いたような顔をした。
❤️「……そうなのかな」
💚「うん!」
俺は笑った。
💚「体育祭も、こうやって楽しもうよ!」
❤️「……」
ゆあんくんはしばらく黙っていた。
そして――。
❤️「……俺、体育祭って勝つことばっかり考えてたかもしれないです」
💚「うん」
❤️「バスケ部でもそうなんですけど、キャプテンだからちゃんとしなきゃって思って」
💛「……」
❤️「みんなに頼られてるなら、期待に応えなきゃって」ゆあんくんは膝の上に置いた手を見つめる。
❤️「だから、体育祭も絶対勝たなきゃって思ってました」
ゆあんくんは手を強く握る
💚「でもさ」
俺は言った。
💚「勝つことだけが体育祭じゃないよ」
❤️「……」
💚「俺、借り物競争めっちゃ楽しみだもん!」
💛「お前は競技よりキッチンカーやろ」
💚「それも楽しみ!」
❤️「ははっ」
また笑った
💚「ゆあんくんもさ、もっと楽しんでいいんじゃない?」
❤️「……」
💚「アンカーだからって、ずっと真面目にしてなくてもいいじゃん」
❤️「……そう、だね」
💛「そうやと思うで」
たっつんが頷く。
💛「別にキャプテンだからって、ずっと完璧じゃなくてええやろ」
ゆあんくんは何も言わなかった。でも――。少しだけ、肩の力が抜けたように見えた。
❤️「……ありがとう」
💚「まだお礼は早いよ!」
❤️「え?」
💚「体育祭、これからだから!」
💛「そうそう」
💚「絶対楽しい体育祭にしよう!」
❤️「……はい!」
その返事は、今まで聞いたものより少しだけ明るかった。
💛「ところでじゃぱぱお前食べながら話すからあんま聞き取れんやった」
💚「うそ!俺いいこと言ってたのに!!」
❤️「あははっ」
体育祭まで、あと一週間。まだ、ゆあんくんの悩みが全部解決したわけじゃない。
でも――。俺たちは少しずつ、ゆあんくんが『期待される人』じゃなくて、『楽しむ一人の生徒』でいられる時間を増やしていった。そして俺は、まだ知らなかった。
体育祭当日。ゆあんくんが、今までで一番楽しそうに笑うことになるなんて!
【5月下旬】
読んでくださりありがとうございますー!
ゆあんくんは素直なのでもうすっかりなんでも相談部に心開いちゃってますね笑
キャラクター説明忘れてたんで説明しときます↓
キャラクター説明
❤️=ゆあんくん、2年C組。2年生だけどバスケ部のキャプテンをしている。悩みは結構重めだけど単純で素直だから扱いやすい。子供っぽいけど変なところでオトナびてる
#リクエスト
Rei7
1
118
えとゆあ推し!
61
コメント
1件
第7話読んだよ〜!ゆあんくんの「期待に応えなきゃ」って必死な気持ち、すごく伝わってきて胸がぎゅってなった😢 でもじゃぱぱが「勝つことだけが体育祭じゃない」って自然に言えてるところ、めっちゃ好き…! ウインナー取り合いのギャグもいい緩和になってて、ゆあんくんの笑顔増えたの本当に良かったね😭💕 体育祭本番が待ちきれないよ〜!続き楽しみにしてるね🌸