テラーノベル
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文化祭の朝、校舎の空気はいつもより少し浮かれていた。
色とりどりの装飾、張り巡らされた電飾、
それなのに、僕の胸の中には妙な重さがあった。
アメリカさんは朝からずっと忙しく動き回っていた。
クラス展示の最終確認をしながら、あちこちで声をかけている。
その笑顔は完璧だった。
誰が見ても、主人公のようだった。
だけど、その笑顔が一瞬消える瞬間を、僕は何度か見ていた。
視線の先には、いつもモブ子さんの空席がある。
彼女は今日も来ていない。
先生は「体調不良」と言っていたけれど、
その言葉を聞いたとき、アメリカさんの表情が一瞬だけ固まった。
「日本、準備手伝ってくれてありがとな」
「いえ……僕は大したことしてませんから」
「そういうところだよ。お前、もっと自分を褒めろって」
アメリカさんは笑いながら僕の肩を軽く叩いた。
その手が、少し強く感じたのは気のせいだろうか。
僕は笑い返そうとして、うまく笑えなかった。
昼前、展示を見に来た生徒たちで廊下が賑わう中、
アメリカさんがふと僕の袖を掴んだ。
「日本、外出よう。ちょっとだけ」
「え……今ですか?」
「いいから」
言われるままに校舎を抜けて、裏庭のベンチに座った。
遠くからスピーカーの音が響く。
それでも、ここだけは不思議なほど静かだった。
「日本、文化祭終わったらさ」
「はい」
「どっか行こう。二人で」
「え?」
「人のいないとこ。ゆっくりできる場所がいい」
言葉が喉につかえた。
アメリカさんは穏やかに笑っていた。
けれど、その目には、どこか“決意”のような光があった。
「……あ、アメリカさんどうしたんですか」
「別に。ただ、もう誰にも邪魔されたくないんだ」
その瞬間、背筋が冷たくなった。
声を出そうとしたけれど、何も言えなかった。
アメリカさんが立ち上がり、ポケットから携帯を取り出す。
画面を見せると、そこには学校の掲示板のスクショが映っていた。
『モブ子、停学処分』
その文字を見た瞬間、息が止まった。
「……どうして」
「知らないよ。俺は何もしてない」
アメリカさんは笑っていた。
けれど、その笑顔は今までで一番静かで、
どこか壊れそうに見えた。
「日本。もう大丈夫。お前を嫌な目に遭わせる人はいない」
「アメリカさん…?」
「これからは、俺だけ見てればいい」
僕は言葉を失った。
アメリカさんの声は優しかった。
けれど、その優しさは、どこかで変わってしまったようだった。
風が吹き抜け、遠くで鐘の音が鳴る。
校舎の方から笑い声が響いてきた。
僕だけが、その音を遠く感じていた。
アメリカさんの手が、僕の手に重なる。
その温もりが、怖いほど確かだった。
「日本、俺、ずっとそばにいるから」
夕方の光が傾くころ、文化祭の音が少しずつ遠のいていった。
世界はまだ明るいのに、僕の中では何かが静かに崩れ始めていた。
選択肢
依存or別離
以上です。
いいねの数が奇数であればアメリカに依存end
いいねの数が偶数であればアメリカと別離end
にしようと思います。
期限は明日の7時までです。
ちなみにいいね0なら打ち切りです。
コメント
1件
え、両方見たいですね🧐