こんにちは人類です。
前回の投稿にいいねが213件付いていたので依存endになりました。それではどうぞ。
文化祭が終わってから、一週間が経った。
校舎の飾りは片づけられ、廊下はいつもの灰色に戻っている。
それなのに、僕の中ではまだあの日のざわめきが消えなかった。
アメリカさんは変わらず明るい。
誰にでも笑いかけて、冗談を言って、周りを和ませる。
でも、その輪の中で僕の名前を呼ぶときだけ、
声のトーンが少しだけ違うのが分かる。
「日本、一緒帰っていい?」
「……はい」
答えた瞬間、少しほっとしたように彼が笑う。
放課後の空は薄く曇っていて、光が柔らかい。
歩く足音が二つだけ響く。
アメリカさんはポケットに手を突っ込んだまま、
何気なく言った。
「最近、あんま誰とも話してないよな」
「……そう、ですね」
「俺も。気づいたら、お前としか話してない」
少し笑いながらそう言う。
軽い冗談みたいだったけれど、胸の奥がざわめいた。
「アメリカさん……」
「なに?」
「僕、変ですかね。アメリカさんといると、安心するのに、怖いです」
アメリカさんは足を止めて、僕を見た。
その目は穏やかで、でもどこか痛いほど真剣だった。
「怖がらなくていいよ。俺、日本のこと大事にしてる」
「……分かってます」
「なら、それでいい。俺も日本がいればそれでいい」
夕方の風が少し冷たかった。
アメリカさんの声はあたたかいのに、背中のあたりが少し震えた。
家の前に着くと、アメリカさんが小さく笑った。
「また明日」
「はい」
「ちゃんと寝ろよ。俺、お前がちゃんと寝てるか気になる」
「……どうしてそんなに」
「日本のこと、気づいたらずっと考えてるんだ」
その言葉が、優しく心に絡みつく。
重いのに、なぜか離したくなかった。
家に入っても、アメリカさんの声が耳に残っていた。
スマートフォンの画面には、いつの間にか届いていたメッセージが光っている。
『おやすみ。俺、日本が笑ってくれるのが一番うれしい。』
それを見て、胸が締めつけられた。
安心と、息苦しさが同時に押し寄せてくる。
──僕はもう、アメリカさんの笑顔なしでは眠れない。
夜、布団の中で、
あの声を思い出すたびに、不思議と落ち着く自分がいた。
アメリカさんが僕を見ている、という想像だけで呼吸が整う。
それがいつの間にか「安心」ではなく「必要」になっていることに、
気づかないふりをした。
窓の外で風が鳴る。
部屋の隅に差し込む光がゆらいで、壁に影を落とす。
アメリカさんの言葉が静かに蘇る。
“俺が守るから”
その響きが、鎖のように僕の心に絡みつく。
怖いのに、ほどきたくない。
逃げられないのに、逃げようとも思えない。
優しさという名の鎖に繋がれたまま、
僕は静かに目を閉じた。
以上です。これにて最終回です。
次何書こうか迷ってるんで明後日の5時までにいいねが50以上付いていたらエピローグ書きます。
コメント
1件
依存エンドっ、!!大好きすぎます!!