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寝癖だらけの髪で学校へ向かう葉菜(はな)。彼女は学校が嫌で嫌で、仮病を使おうとしていたが…
「お母さんったら、病気の子供を学校に行かせようとするなんて頭湧いてるのかしら。はぁ〜あ、休みたいなぁ…」
もともと休むつもりだったので時間に余裕が無い。それに葉奈の住んでいる町は田舎にあるため道があまり安定していない。
「はぁ、はぁ…くっ……」
地面を向き目を瞑って全力で走っていた葉奈に、誰かがぶつかってしまった。
「あっ!ごめんなさ……キャァァァァ!!!」
それは葉奈の身長の半分はある熊だった。中学生の葉奈の身長の半分もあるのだから、相当大きい。
「は…あ、あ……」
葉奈は泣き崩れてそのまま熊に頭を食べられてしまった。
「…あれ、私生きて…?ううん、足の感覚が無いから死んでるわね…はは…」
自分の死体を見つめる葉奈の後ろから、弱気な声が聞こえた
「あのぅ……えっと、休む…?」
ハッとして後ろを振り返るとそこには葉奈より少し身長の低い水色の少女が不思議なポーズで待っていた。足は内股だし、背筋はピーンと伸びているし、左手で胸を押さえて、右手を私に差し出している。私はそれを見た瞬間、その子の手に触れたくなった。触れたい。触れなきゃいけないという衝動に狩られて私はその子の手に触れた。
「わ……急…え、えっと、行くね…」
そうして私の視界が真っ白になった。ここは天国だろうか?でも今はなんだかどうでもいい。数十秒経つと風景と水色の少女が見えてきた。
「ここは…?」
「え、ええっと……私のお家兼島だよ…」
彼女に腕を取られて注射をされている間辺りを見渡すと、まるで貴族専用病院の個室のようだった。ふかふかそうなベッドに綺麗に透き通る点滴、曇ったガラス。水色からカラフルに変身して人間のようになった少女。
「え、えっと……確か、休みたいんだっけ?うん…もちろん休ませてあげるよ…ほら、そこのベッドに横たわってゆっくりしていて。て、点滴なら今刺してあげるから…」
そう言ってその子は私の手の甲に手の甲の管を刺した。死んでいるからか痛みはなかった。
そして私は、この少女に”患者“として介護してもらって過ごしていた。私の好きな物が何でも手に入る。好物のハンバーグ、カレー、ステーキ、それに漫画だって読み放題だった。そんなある日のこと
「ねぇ、ここから地球に帰ることって出来るの?生き返ったりとかさ」
「……そ、そんな事を言う患者さんは初めてかも…もうここには帰れなくなるけど、行けるよ…?」
ここで私は妙な事を考えた。今私が生き返れば”生き返った中学生の女の子”などとメディアに取り上げられて一躍有名人に…!
「…行くわ、私自身のために。貴方も来ない?」
「う、うーん、私は……他の患者さん達を見なきゃいけないから…先日入って来たPTSDで発狂してる子を見たりしなきゃいけないから…あ、地球に送っておくね、それじゃあ…」
そして私は地球に返された。
灰色の鉄の台に乗せられていた私の重い体を起こし、くぐーっと背伸びをした。
「うーん!シャバの空気っておいしー!ねぇ!みんなもそう思わない?」
ルンルンで問いかけると私の所へ赤紫のスライムが近付いてきた。何こいつ、人間じゃない…
「え、え…あ!ちょっと!」
他にも赤紫のスライムは私によってたかってきた。何も抵抗できず、されるがままにどろどろに溶かされてしまった。
…No.5
〜〜 平夢(ヒラユ) 死亡時:24歳 死因:医療品棚による圧迫死
嘘をついて休みたいという感情に溢れている人間を連れてくる。仮病の感情を好む。露出度の少し高い服と獣の耳が特徴的。人に触ることは容易いが、触られるのは嫌らしい。