テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#鬱展開
Mist-404
553
麗太
579
#ロボット
なつみかん
1,213

247
第一章 マフィア編
第三話「古流斬」
冷たい地下施設。
黒のランは毎日、戦闘訓練を受けていた。
「立て。」
教官の声が響く。
倒れても、殴られても、また立ち上がる。
逃げれば待っているのは死。
生き残るには強くなるしかなかった。
⸻
ある日、黒のランは初めて実戦訓練に参加する。
相手は年上の訓練生。
体格も力も上だった。
「弱い奴に価値はない。」
そう言って襲いかかってくる。
黒のランは正面から戦わない。
相手の死角へ回り込み、一瞬の隙を突いて勝利した。
教官は静かにうなずく。
「力ではなく、技で勝ったか。」
⸻
その様子を遠くから見ていた男がいた。
マフィアのボスだった。
「面白い。」
「この子どもには才能がある。」
ボスは幹部たちに命令する。
「最高の暗殺者に育てろ。」
⸻
数か月後。
黒のランはワイヤー、ナイフ、体術、暗殺術を次々と身につけていく。
しかし、人を殺す命令だけは従わなかった。
標的を気絶させ、自分の血を流して「殺した」と見せかける。
そして、助けた相手のそばには必ず一枚の紙を残した。
「逃げろ。二度とここへ戻るな。」
誰にも知られない、小さな反抗だった。
⸻
ある夜。
黒のランはボスの部屋へ呼び出される。
「今日から、お前の本名は捨てろ。」
少年は黙ってボスを見つめる。
「黒のランは今日ここで死んだ。」
「これからのお前は――」
『古流斬』
その瞬間、新しいコードネームが与えられた。
古流斬は静かに目を閉じる。
「……分かった。」
だが心の奥では、本当の名前も、はるかとの思い出も消えてはいなかった。
⸻
その頃、町では、はるかが一人、夕焼けの道を歩いていた。
「ラン……。」
「どこにいるの?」
答える人はいない。
それでも彼女は信じ続ける。
「きっと、生きてる。」
その願いが、未来の運命を大きく変えることを、まだ誰も知らなかった。
――第三話「古流斬」 完
コメント
1件
読ませていただきました。第三話、すごく沁みました……。 ランに「古流斬」というコードネームが与えられる場面、胸が締め付けられました。心の奥ではるかを想い続けながら、♡♡♡の命令だけは抵抗する――その静かな反抗の積み重ねが、たまらなく切ないです。「逃げろ」と紙を残す描写、本当に好きです。彼の優しさがじんわり伝わってきました。夕焼けの道で「ラン」と呼ぶはるかのシーンも、未来がどう動くのか楽しみです。