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金曜日、宝石店から
『婚約指輪と結婚指輪のご用意が出来ました』
と、連絡があった。
「どうする? 明日、取りに行く?それとも明後日?」
「そうだなぁ〜明日ウチの実家へ行って、結婚式の話もしたいし……日曜日にしようか? 先に入籍して、宝石店へ」
「そうね、洋平の誕生日会は?」
「え? そんなのイイよ」
「じゃあ、家に帰ってから2人だけで……」
「うん、それが一番嬉しい〜」
「何か欲しい物ある?」
「美優!」
「…」
「何か欲しい《《物》》ある?」
「美優‼︎」
「もう〜!」
「ううん、何も要らない。美優が隣りに居てくれたらそれでいい」
むぎゅー
「じゃあ何か食べたい物ある?」
「う〜ん、美優の料理どれも美味しいからなぁ〜」
「1番好きな食べ物は?」
「じゃあ、ハンバーグかなぁ」
「え? そうなの?」
「うん」
「この前、食べたじゃん。じゃあ、洋食でイイ?」
「うんうん」
「了解〜
あ〜明日大丈夫かなぁ?急にすごく緊張してきた〜」
「大丈夫だよ、いつも通りで」
「何着て行こう〜」
「何着ても似合うよ」
「あ〜バタバタしてて、手土産!洋平のご両親は、何が好き?」
「うちも芋羊羹、好きだよ」
「ホント? 一緒で大丈夫?」
「うん」
「あ〜緊張してきた〜どうしよう〜」
ソファーの下に座っていたら
後ろから抱きしめられる
「大丈夫!いつも通り……ね」
チュッ
「今日は、ほっぺの日?」
「うん、こめかみにもしよう」
チュッ
また、ほっぺにしようとしたから
横を向いたら唇に……
「あっ」
「ふふ」
「み〜ゆ〜♡」
「ふふ」
2人になると、
イチャイチャする
「会社では、真面目な顔して、仕事してるのに……」
「ギャップ萌え〜?」
「うん、私しか知らない洋平」
「美優だって、会社じゃ真面目な顔して、仕事してるよ」
「そりゃあ、そうよ」
「でも、常務とかには笑顔で接してるから、常務は
いつも美優の笑顔を1人占めできてイイなぁ〜って
思うよ。課長の秘書もやらない?」
「ふふ、課長に秘書は居ないわよ〜」
「じゃあやっぱり、俺も常務になれるように頑張ろう!」
「え?その頃、秘書は、もうきっと若い子よ」
「そっかあ〜イイね〜」
「あ、もう浮気しようとしてる!」
「してないよ、考えても見ろよ、俺が役員になれたとしても、もうお爺ちゃんだよ」
「元気なお爺ちゃんも居るからね〜」
「そうだよなあ〜」
「あ〜結婚前から、そんなことでニヤついてる!
もう婚約破棄だ!」
「あー嘘〜!俺は美優だけだから……」
「ふふふ」
「ホントに?」
「ホント♡」
チュッ チュッ
「もうキスし過ぎ〜」
「もうずっとする! ふやけるまでずっとする」
「ヤダ〜もう〜」
「ふふふ、愛してるよ、美優」
優しいキスが落ちて来た
いよいよ、洋平のご両親に初めてご挨拶する日。
「ね〜洋平これでイイ?見て〜」
「うん、イイね〜」
「後ろもちゃんと見て!」
「うん、大丈夫!」
「髪型は?おかしくない?」
「うん、大丈夫だってば……」
「ちゃんと見てよ〜」
むぎゅー
「落ち着いて!」
美優も洋平の背中に手を回して……
「ふぅ〜落ち着く〜」
「美優は、いつも通りで大丈夫だから……」
「うん、分かってるけど緊張する」
「大丈夫、大丈夫」トントン トントンと背中をゆっくり撫でながら、トントンする洋平
「うん、ありがとう」と顔を上げた美優に、
思わずキスしてしまう洋平
「口紅ついたよ、ふふ」
「あ!」
「お母様に朝から何して来たの? って言われるかも〜ふふ」
「あー!ちゃんと拭かないと……」
「洋平!ありがとう〜」チュッ
「うん♡ あ、また〜美優〜」
「ふふ、う〜ん、何?ダメなの?」
「ううん、ダメじゃないよ♡」
首に手を回し、優しいキスをする美優
ニヤける洋平
「あ!また〜美優〜楽しんでるな」
「ふふ、ありがとう、落ち着いた」
──俺は、落ち着かないよ〜美優〜♡
そして、洋平の実家へ向かった
手土産の芋羊羹を買って、ご実家へ
洋平のご実家は、郊外にある。
その為か敷地が広く閑静な住宅地だ。
敷地内には、綺麗に手入れされた庭がある純和風のお家。
「ただいま〜」と洋平
「は〜い」と奥から声がして、お母様が玄関へ
「はじめまして、鈴木美優と申します。よろしくお願い致します」
「はじめまして、洋平の母です。こちらこそよろしくお願いします。ようこそいらっしゃいました。さあ、どうぞお上がりになって〜」
──洋平によく似たお母様
あ、洋平が似てるんだ
庭が見える広い和室へと案内される
しばらくするとお父様がお見えになった。
「はじめまして、鈴木美優と申します。よろしくお願い致します」
「あ、はじめまして、洋平の父です。よろしくお願いします。どうぞ!」
と、座るよう促される。
お母様がお茶を淹れて来てくださった。
「どうぞ〜」
「ありがとうございます」
その間に、お父様に手土産を手渡す。
「芋羊羹です。お好きだとお伺いしまして……」
「あ〜ありがとう、皆んな好きです。」
「あら、嬉しいわぁ、ありがとうね〜」
「改めまして、紹介します。婚約者の鈴木美優さんです」
「あら、婚約者って……ふふ、馴れ初めは?」
「お母さん、早いよ」思わず皆んなで笑う
「ハッハッハッ」お父様も笑って和やかに始まった。
「そもそもは、7年前に美優が新入社員で入ってきて、すぐにお付き合いを始めて、2年経った頃に俺の海外赴任が決まって、一旦離れたんだけど……」
「え?そうなの?」
「うん、その時ホントは、美優も一緒に連れて行きたかったけど、まだ俺は未熟だったし、美優はまだ22歳だったし、常務取締役の秘書という大事なポストが待っていたし、5年も待っててって言うのもおこがましいって思ってた」
「そうなのね……」
「で、5年経って帰って来たら、美優はまだ待ってくれていたから……」
「あら、素敵〜」
「で、やっぱり俺には美優しか居ないから、
すぐにプロポーズした!」
「そうか、良かったな、美優さんが待っててくれて」
「うん、だからすぐにでも籍を入れたい!」
「美優さんのご両親には?」
「先週ご挨拶に行って承諾してもらった。」
「あ〜良かったわね〜」
「美優のお父様は、ウチの会社の総務部長で、」
「えー?そうなの?」
「うん、お爺様は、専務なんだ」
「えー! あなた、大丈夫なの?」
「うん、それがお爺さまも俺が課長になる後押しをしてくださってたんだよ、美優と付き合ってることを
知らなくて……」
「そうなのか、じゃあ期待に応えないとな」
「うん、頑張って、もっと上を目指す!その為にも
美優と一緒に居たいって思ったから……」
「そうか、2人がイイなら、なぁ〜! 反対する理由もないし、お前ももう若くないし……美優さんお願いしますね」
「ありがとうございます」
「洋平、気難しい所もあるけど、よろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしくお願いします」
「いや〜ホントにお綺麗な方で、お上品で御家柄もよく、洋平には勿体ない、ホントに洋平でいいんですか?」
「あ、いえ、そんな、私の方が尊敬しています」
『ニヤッ』と笑う洋平
目を合わせて、ニッコリ
それを見て、微笑ましく笑うご両親
「良かったわね〜洋平、もう結婚しないんじゃないか?と思ってたもの……」
「いや〜結婚するなら美優しか居ないって思ってたから……帰国して会社で美優を見つけて嬉しかった」
「マレーシアに一緒に行ければ良かったのにね」
「そう、連れて行かなかったことをずっと後悔してたから、帰ってすぐにプロポーズした」
「あら〜そうなのね〜良かったわね〜」
手を叩いて喜んでくれるお母様
「だから、明日にでも婚姻届を提出したいから、持って来た。サインしてくれる?」
「もちろん! はい、お父さん」
「明日って、あなたの誕生日ね、そりゃあ絶対忘れないわね、ハハハ」
「うん、そうだな」
父がササッとサインをしてくれた。
「おめでとう〜」とお母様、明るい方で良かった。
「ありがとうございます」
「で、結婚式の話なんだけど……」