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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「へー、こんな事出来るんだねぇー、妾(わらわ)初めて見たよ、びっくりだね」


驚きの声を上げるバアルに対して後ろからスプラタ・マンユの次兄、モラクスが声を掛ける。


「さて、コユキ様、アスタロト様、バアル様、お手数ですが三つの依り代と三つの魔核それぞれに聖魔力を流して頂けますでしょうか? 出来れば息を合わせてなるべく同時にお願い致します」


言われてお互いに視線を交わし合った三魔神マイナス善悪は、コユキが手を翳(かざ)すのに合わせてそれぞれ目の前に進んだフィギュアに対して掌(てのひら)を向けたのである。


「行くわよ、サンハイっ! ほれ」


「「ほれ」」


ピカピカピッカァ!


「「「にゅあーっ! アタシ復活ぅっ! 大成功ぉ!」」」


ふむ、分からん…… 何でわざわざこんな手間を?

そう思っていた私の探求心はすぐさま満たされたのであった。


黒猫が言ったのだ。


「コユキ様、魔神アスタロト様、我が君バアル様ありがとうございました! お陰で無事顕現させて頂きました、しかも兄上姉上たちと企んだ通りに宿六(やどろく)、おっと、大好きな旦那様と同じく三位一体方式での復活に成功いたしました」


茶トラが続いた。


「一種の賭けでしたけど存外にうまく行っちゃったみたいですー! うふふ、旦那様とおソロだなんて、うふふふ、嬉しいっ!」


青猫もどこか誇らしげだ。


「しかしこの結果を学会に発表しようものなら、悪魔界の常識が覆される快挙となるは必定(ひつじょう)だわね…… 慎重に検討した方が良いわね、きっと」


が、学会? そんなのあるんだっ! ほえー、また一つ私の悪魔に対する認識が改められたのである。

私と違いあんまり驚いていない風でコユキが言う。


「なるほどね、口白のクロチロシロ三匹バージョンに合わせたって訳ねん! そうかそうか、それで合体ロボとはねー、感心したわ! んで、アンタ等三匹の時の名前はあんの? それともルティ一号とか三号とか呼べば良いのかな? どうなの?」


黒猫が自慢気に言う。


「ちゃんと考えて来ましたよ、私の事は『アズキ』とお呼びください」


茶トラも言った。


「私は『ムギ』! どうです? 良い名前でしょー?」


青いのも言う。


「私は少し捻って『ソラ』にしたのです、検討に検討を重ねた結果ですね」


…………三匹とも安直だし、割かし良く聞く猫の名前だと思ってしまったのは私だけだろうか。

何しろデカいし、魔神とコユキの潤沢な魔力で復活した為か、目とか周囲のオーラとかがギラギラしていて、どちらかと言うと、セクメトとかバステトとかハトホルとかの、有名な悪魔にしか見えないが……


まあ、本人達が良いと言うのなら、他人がとやかく言う事でも無いのであろう。

決めてしまったのなら仕方が無いのである。


何となく三匹のリーダーっぽいセクメト、おっと違った、アズキにコユキが話し掛ける。


「アズキにムギにソラね、色とピッタリ合ってて覚え易いじゃないのよ、んでチロ達みたいにアンタ達も合体できるのかしら? ほら、口白とかラーとか言って、神獣モード? あれ格好良いじゃ無いのん」


アズキに代わってムギが茶色の胸を反り返して答える。


「当然っ! 三位一体、いやいや三身合体等造作も無いのですわぁー! ご覧あれぃ! ソラっ! 合図ヨロっ!」


不自然に青い猫がこの茶トラに答える。


「ふむ、試行してみるとするか…… 実験ですっ! 『アルテミス、コンビネーション!』 ニャン!」


黒猫。


「フーッ!」


茶トラ。


「フギャーっ!」


ビッカァーッ!


眩い光が本堂を包み込み、その場にいた全員の視界を奪った。


光の中心が落ち着いた後でも、コユキ始め全員が視界の真ん中にピカピカとした残光の煌めきを残し、軽く酔った感じになってしまっていたのであるが、若々しい女性の声が視界不良の世界に響いているのを無力なままで聞いているしかなかったのである。


「ジャ、ジャーンっ! 真にアタシ復活うぅぅ! 改めましてコユキ様! アスタロト様、我が君! 大好きなお兄ちゃんたち、ラマシュトゥお姉ちゃん! あと、まあ…… アンタも元気そうだね、アヴァドン…… まあ、一応アンタにも言って置くわ、サンキュ…… チッ!」


アヴァドンが存外に優しげな声で答える、因みにここまでコユキの視界は回復していなかった。


「おう、本当にしょうがない奴だよ、お前はさ…… お帰り、アルテミス」


「…………只今」

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

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