その時、私は真っ白で無駄な物を全て削ぎ落とした様な空間に座らせれていた。
殺風景なその部屋に居るのは私だけで無く
他に四人の人…では無く作り物も居た
(気まづい…)
そう私は思いつつ私を中心に椅子で囲み座っている中で
私の目の前にいる人物に目をやる
何処を見ているかよく分からない穏やかな微笑を浮かべ、
全体的に緩い暖色系の服装をしており、鮮やかな黄色い瞳に桜色の緩いパーマがかった短い髪型の女性か男性かも分からない様な容姿をしている。確か名前は『WAKABA』。
続いて私の右側に居る人の方に目線を向ける
先程の人とはうって代わり明るい表情で此方をまじまじと見つめて、
胸元まであるオレンジ色の髪に私と良く似た青色の瞳。比較的露出の高い服装をしている明るい女性、二つの大きくて立派な小山は重そう、確かこの人の名前は『HIMARI』。
続いて左側の人達に目を向ける
無言かつ無表情で此方を見つめ一つの椅子に二人で座っている二人の少年
毛先だけ黄色い赤髪は二人とも、左右それぞれで分けており容姿は 全くと言ってい良い程同じで不気味だ。
右側で結んでいるのは兄の『KAEDE』。
左側で結んでいるのは弟の『YUDUKI』。
そして今視界に入れる事さえ不可能な真後ろに座っているのは
先日私からココアを取って何処かに行った『HUYUNE』さん。
何と無く視線を感じるし振り返って見るのは辞めておこう。
恐らく他の四名も『HUYUNE』さんと同じく幹部の人だろうか
(けど、どうして私がここに呼び出されたの…?)
そう思いスカートの裾を握って少し俯く
無言の重苦しい雰囲気を破ったのは以外にも『KAEDE』さんだった
「ねぇ、そろそろ本題に入らない?この子もびっくりしちゃってるよ」
その言葉に一番最初に反応したのは私の目の前に居た『WAKABA』さんだった
「あぁ、そうだね、ごめんね『AMANE』ちゃん」
「いえ、どうかお気になさらず 」
思わず驚きそうだったものの自然かつスムーズな返答をして 私は姿勢を直した。
「本題に入ろうか」と『WAKABA』さんがにこりと笑いながら言って話を始める。
この中でのリーダー格はこの方なのかしら?
「先日導入された人間の「ハル」とは上手くいってるかな?」
「はい、とても優秀で私も助かっています」
「そっかそっか、なら…」
そう言い『WAKABA』さんは左側に目線をやる
「『HIMARI』、さっきの資料をお願いね」
「おっけー!『AMANE』ちゃん、ちょっと失礼するねっ」
そう言った後『HIMARI』さんは私の腕部分にある配線等を押し、
私の脳に、ある一つのデータを移行させた。
「…あの、此方のデータは一体?」
「それは『YUDUKI』くん!説明おねがーい!」
「はぁい」と『YUDUKI』さんが言い私の方に歩み寄ってくる
「このデータは「ハル」、君とペアになっている人間の今までの情報が載っている。
君は優秀だから幹部会議の後、このデータを君に譲る事に決定したんだ」
そう言った後無表情のまま『YUDUKI』さんは「何か質問はある?」と私に告げる
ハルのデータ?
お喋りなハルは自分の事についてあまり話さない。
この前言ったきりでハルは昔の事を全く話さないし私も聞かないから話題に上がることも無い
「…あの、一体どの様なデータがあるのでしょうか?」
「簡略化すると、血液型や身体のサイズ、
それから過去の経歴とかの僕達が解る全てが載っているよ」
「えっ…そんな重要な物を…私に…」
「『AMANE』ちゃんが優秀だからね、ご褒美だと思ってね」
後ろから声が聞こえる、『HUYUNE』さんの声だ
振り返るのが良いと思ったものの、『HUYUNE』さんは何をして来るか分からない。
「…そう、ですか。光栄です」
絞り出した声はどうした物かほんの少しだけ、微かに震えていた。
データ移行が終わってからは五名の話を聞き、
間違えて粗相をしないかどうかなどかなり気疲れしてしまった
以外にもピリついた空気では無いのが唯一の救いだったけどね…
「ふふっ『AMANE』ちゃん、お仕事の調子はどう?」
「『HIMARI』さん、…はい、とてもやり甲斐もあり順調です」
部屋から出た時に『HIMARI』さんに話し掛けられた
今日会った所、『HIMARI』さんは幹部の方達の中でも話をしやすく私に話題を良く振ってくださった
「そっかそっか〜」と笑いながら言う口元からは八重歯が見えた。
「何か聞きたい事とかある?さっきの子達の話とかさ」
「えっ…けど…」
「いいのいいの!幹部権限って奴で許されるし何かあったら私に任せてっ」
「…それなら…」
『HIMARI』さん相手なら大丈夫な筈、
そう思い私は前から気になっていた事を聞いた
「幹部とは…一体どんな存在なのでしょうか?」
そう私が言った途端『HIMARI』さんは軽く目を見張ったものの直ぐに笑顔になって
自身の口元に人差し指を当てた
「四季ってあるでしょ?春夏秋冬
その象徴って言ったらわかるかな〜、例えば私は夏の象徴なのっ」
「…成程、えっと…象徴とは具体的にどういった…?」
「んっとねー、噛み砕いて説明するとその季節の管理人って感じで〜
それぞれの象徴が担当の季節特有の物とかを管理するの〜
春は冬からの気温調節や淡い草木、私の担当してる夏は高い気温と太陽や草木、秋は繊細な紅葉管理、冬は雪や風…とか言いあげたらキリがないよ」
「…凄い」
「でしょ?意外と大変だからさ〜こう関心を持ってくれる子が居たら嬉しいんだよねぇ」
ケラケラと笑いながらそう言う『HIMARI』さんは私の頭を軽く撫で
「私は仕事が残ってるからまたね」と言って仕事場に行ってしまった
部屋に戻るとハルがベッドで眠っていた
寝息を立てながらお腹を丸出しにしてとんでも無い格好で寝ているのは正直面白い
笑いを堪えつつ毛布を掛けてあげた後
私は先程移行して貰ったデータを見てみる事にした。
(ハルには申し訳ないけれど…仕方ないわ)
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名前 ハル・ソレイユ
年齢 16
性別 女
血液型 O型
身長 161cm
体重 49kg
出身 イギリス __州
その他項目
両親共々から__されていた過去あり
研究所に___を__代わりに____として____された__
感受性豊かで___も将来的に考えられる
___の__として推薦し今後も____として扱う
___はヒューマノイドとしての__がある為
この__とは__を深めさせるのが効果的
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(…何よこれ)
殆ど解読不可能、文字入れでもして遊べって事?
幹部って私の事子供だとでも思ってるのかしら?
軽い溜息を履いた後
私はハルの眠っているベッドに潜り込んで暫くの間
天井とハルの顔を交互に眺めるのを繰り返し、
ハルが起きるまでの長い時間を待つことにした。
コメント
7件
やったアマネだ!!!!! えこれハルも幹部になるとかないですよね???季節代表みたいな名前してますよ????