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寒河江は、5137の軽バンから降りると、ため息をついた。
長澤医療機器のリース契約、7台分の終了。
寝耳に水であるこの出来事を、販売促進部の課長になんて説明したらいいだろう。
藤倉愛の顔が脳裏に浮かぶ。
やはり女は怖い。
特に30を超えた女は、たちが悪い。
器用さも強かさも持ち合わせていながら、快楽も感情も捨てていない。
まったく可愛くない。
寒河江は事務所の扉を開いた。
何人かの女性たちが顔を上げる。
営業課、総務課、経理課、販売促進課、保険課。
「お疲れさまでーす」
それぞれのデスクに座る顔が寒河江を見つめる。
まあ、こいつらに比べたら――――。
寒河江はその能面のような張り付いた笑顔に挨拶を返した。
「戻りました」
ーーーーまだマシか。