「凪、お前怪我したんだって?」
練習の途中いつもなら絶対しないようなミスで
足を捻ってしまった。
「玲王、多分すぐ治るから。」
きっと怪我はすぐ治るし大丈夫だろうけど、
しばらく練習は難しい。
「凪、お前もう練習来なくていいから。」
冷たい声で目線の先は俺ではない。
「玲王…?」
「はぁ、凪。サッカーの出来なくなったお前にはなんの価値もないんだよ。」
サッカーしようって誘ったの玲王じゃん。
俺は別にサッカーなんてしたくなかったし、
ちょっと怪我したくらいで一瞬で見放すの?
「玲王、もういいよ。」
「もういいのはこっちの方だよ。俺が好きなのは凪の才能でお前自身じゃない。」
そう言って座り込んだ俺から玲王は離れていった。
「……夢……?」
あー、なんかリアルな夢だったな。
「怪我しないように気をつけよ…」
ピンポーン──……。
「凪!迎えにきたぞ!」
部屋の外から玲王が呼びかけた。
今日は土曜日というのに練習をするらしい。
「今起きたからもう少しまって。」
「おまたせ。」
「おう!練習行くぞ!」
「今日さ、リアルな夢みたんだよね。」
「へぇ、どんな夢なんだ?」
ばぁやさんの運転する長い車の後ろの席で話した。
「俺が怪我して、玲王が俺から離れていく夢。」
「それのどこがリアルなんだよ。俺はそんな薄情な奴じゃねぇーぞ?」
「うん。知ってる。」
「まぁ、怪我のレベルにもよるけどな。」
その時の玲王の顔は夢と全く一緒だった。
その瞬間俺は静かに絶望した。
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