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翌朝の教室。
窓際の席に座った咲は、教科書を開きながらも心ここにあらずだった。
(……眠れなかった)
夜のことを思い返しては胸が熱くなり、ページをめくる手が止まる。
クラスメイトの声や笑い声が遠くに聞こえるようで、どこか現実感がなかった。
「咲、どうしたの? 顔赤いよ」
隣の席の友達に心配そうに覗き込まれ、慌てて首を振る。
「だ、大丈夫。ちょっと寝不足なだけ」
本当は――胸いっぱいに広がる昨日の余韻を、まだ隠しきれなかった。