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登場人物 • ENTJ(攻め): 一人称「俺」。冷静で論理的、支配的な性格。仕事や目標に対する執着が強い。
• INFP(受け): 一人称「僕」。感受性が豊かで、情緒的。
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2人は付き合っていた。しかしENTJがあまりにも忙しく二人の時間が減り、INFPは感情的でENTJは論理的、その価値観で限界が来て2人は別れた。
半年が経ち、INFPの心はようやく落ち着きを取り戻していた。
別れてすぐの頃は、ふとした瞬間に思い出が蘇り、胸が締めつけられることがあったが、最近は少しずつ前を向けるようになっていた。
「もう大丈夫」
そう思えていた、はずだった。
ピンポーン
インターホンが鳴る。
「……誰だろう?」
不思議に思いながら玄関へ向かい、ドアを開けた瞬間、INFPの全身が硬直した。
「……え?」
そこに立っていたのは、半年ぶりに見る顔
ENTJだった。
「久しぶりだな。」
低く落ち着いた声。
変わらない鋭い目つき、堂々とした立ち姿。
全てが懐かしくて、全てが心を乱した。
「……なんで?」
思わずそう呟くと、ENTJは真っ直ぐにINFPを見つめた。
「会いたかったから。お前と、やり直したい。」
思わず一歩後ずさる。
まるで囚われた獲物のように。
それを見て、ENTJは少し眉をひそめた。
「逃げるなよ。」
「……僕たち、別れたじゃん。」
「だから、やり直したいって言ってる。」
ENTJの声は落ち着いていた。
まるで、それが当然であるかのように。
「……無理だよ。」
INFPは絞り出すように言った。
「だって、僕たち上手くいかなかった。僕は君といるのが、辛かった」
そう告げると、ENTJは目を細め、しばらく沈黙した。
「……辛かった?」
ゆっくりとした口調で繰り返し、ENTJはINFPの顔をじっと見つめた。
その視線があまりにも強く、INFPは思わず目を逸らす。
「そうだよ……君はいつも忙しくて、僕を優先してくれなかった。僕はずっと寂しかったし、君に気持ちを伝えても、論理的に正論で返されるばっかりで、わかってもらえなかった。」
「……わかってなかったわけじゃない。」
「嘘だ。」
INFPの声は震えていた。
半年間、必死に忘れようとした感情が、ENTJの一言で一気に溢れ出す。
「僕は、あんなに泣いて……あんなに寂しいって言ったのに……それでも君は、“仕方ない” って言った。僕がどれだけ苦しくても、“俺には俺のやるべきことがある” って……!」
その言葉を聞いても、ENTJは表情を変えなかった。
ただ、静かに息を吐き、低い声で言う。
「……俺は、お前を手放すべきじゃなかった。」
「……っ!」
「お前がどれだけ傷ついても、泣いても、それでも俺の隣にいるのが当たり前だと思ってた。お前が離れたとき、ようやく気づいた。」
ENTJは一歩近づき、INFPの頬に触れようとした。
「お前がいないと、ダメなんだって気づいた。悪かった」
その手を、INFPはとっさに振り払った。
「……僕は、もう……っ」
「戻りたくない、か?」
ENTJの声は、普段の冷静なものとは違い、わずかに感情が滲んでいた。
INFPは、答えられなかった。
本当は、今すぐにでも「戻りたくない」と言うべきなのに――心の奥では、まだこの人を求めてしまっている自分がいた。
「……怖いよ、君といるのが。」
「怖い?」
「また、僕を置いていくんじゃないかって。僕が寂しくても、“それは仕方ない” って言われるんじゃないかって。……もう、あんな思いはしたくないんだ。」
INFPは俯いて、小さく震えながらそう言った。
しかし、ENTJは微動だにせず、ただ淡々とした声で囁く。
「お前はもう、俺から逃げられないよ。」
「……え?」
その瞬間、ENTJはINFPの腕を掴んで引き寄せた。
「離さない。絶対に。」
力強い腕に抱き込まれ、INFPは抵抗しようとするが、ENTJの手は決して緩まなかった。
「……帰って……っ」
「ダメだ。」
耳元で囁かれた声に、背筋がぞくりとする。
「俺のこと、まだ好きか?」
続く