テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
みんなが料理やプレゼントに心を踊らせるクリスマスイブの夜、僕は家の外に追い出されていた。
「うぅ、寒い……。」
悴む手にはぁっと息を吐くと、そこらが白く染まった。
今日は僕、何も悪いことをしていないはずなんだけどな。
料理も終わらせたし、お風呂も掃除したし、洗濯も終わらせたし。
今日はイベントがあったらしいし、機嫌が悪いのも仕方がないのかと自分を納得させた。
首元に風が入り込んできたので、タートルネックを引き上げた。
「あ、お父さん。」
気がつくと、残業帰りのお父さんが居た。
「お願い、僕も入れて。」
「……嫌だ。そんなことしたら、俺が穂波に怒られるだろうが。」
「ねえ、僕、すごい長い間、外に居たんだよ。これ以上居たら死んじゃうよ。」
途端に右の頬が熱くなった。
いつも僕に無関心なお父さんに、殴られたのは初めてだった。
「俺も穂波も、お前が生まれることなんて望んでなかったんだよ。」
「じゃあなんで……。」
「お前が聞いても分かんないだろうよ。」
すると、家の中から物凄い物音が響いた。
僕を追い出したお母さんが暴れ出すのは、日常茶飯事だった。
『孝四郎はなんで彼奴に構うのよ!』
叫んで、壁を殴って、物を壊していた。
「じゃあ俺はこれで。」
視界が狭まり、手足が上手く動かせなくなってきた。
力を振り絞って空を見上げると、皮肉なほど綺麗な星が煌めいていた。
僕は泣いた。悲しかった。
泣いて、泣いて、疲れて寝てしまった。
鯨燈一
96
陽向
429
#物語
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!