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Hayato×Jinto
Hayato side
今回の標的は、あいつだ
深い森のさらに奥
護衛もつけずに歩く後ろ姿を追いかける
細心の注意を払い、徐々に近付いていく
急に突風が吹き、標的が驚いたように振り返った
ケープから覗いた漆黒の前髪、そこから覗く瞳
視線がぶつかった
持っていたナイフを振りかざすことが出来なかった
何故だろう
殺せなかった
「…僕を殺すのですか」
心臓が早鐘を打つ俺に対しこいつの声は冷静だった
「…殺せない」
殺せなかった
こんな事ははじめてだった
依頼があれば誰だって切りつけた
俺にはそれしか出来ないから
「怪我をしているのですか」
目の前の男は
自分を切りつけようとした男の手を取った
傷だらけの腕
「…いつ負ったかもわからないような傷だ」
幼い頃に受けた一際大きな傷を撫でながらこいつは口を開いた
「…昔、泉であなたより少し小さな子どもに何度か会いませんでしたか」
「…泉…?」
被っていたケープが
顔を上げた瞬間
ゆるりと落ち
顔が明らかになった
その面立ち、そして美しい髪
懐かしさと
愛おしさと
安らぎと
感じるその姿は
「…あれはお前だったのか…」
通りで殺せないはずだ
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