-第二話-
「ダルズ総督のいる中心区は病床区から一番遠いんで、頑張らないといけないんですよね。」シュルドは笑いながらミアに話しかけたが、その顔は全く笑っていなかった。ミアはそんなシュルドが不思議になり、ダルズ総督や中心区の意味も分からないため声をかけようとする。「シュルド…さん。」
「あぁ、ごめんなさい。ミアさんには分からなかったですよね……。ダルズ総督はレミナ軍の一番くらいの高い人です。マジで怖いんで、気をつけてくださいね…。だから来たくなかったんですよ………。それで、中心区っていうのがダルズ総督のいるとこです、偉い人たちはみんなそこにいて、指令を出したりとか次の戦いの作戦を立てたりしてるんです。レミナ軍では場所の事を区っていうんですよ。このぐらいで、大丈夫ですかね…?」
ミアが分かっていなさそうな事を察知したらしいシュルドはダルズにビクビクしているのか、ずっと顔を下に向けていたが、ミアに説明した。ミアはあまりピンと来てなさそうではあったが、そのうち分かるだろうと思い、シュルドはミアをそのままにしておいた。その後はお互いに何も話さなかったが、それも長くは続かず中心区に着いた。中心区は他の区に比べて人がほとんど居らず、代わりに『一番隊本部』や『武器庫』『管理室』など、様々な名前が書かれた扉が無数にあった。その中でも一番奥にある『司令室』と書かれた扉の先にダルズは居る。シュルドとミアは『司令室』の前に立った。
「失礼します。」
シュルドが一声かけてから扉をノックする。中から、長い赤色の髪を後ろでまとめた女性と間違えてしまうような美少年が出てきた。その少年はムッとした顔でいて、ベストとネクタイを付けている。
「何か御用ですか?」
「ダルズ総督に会わせていただきたくて…。」「だから、何故会いたいのか?と聞いているんです。」
少年のトゲトゲしい口調にオドオドしながシュルドが受け答えする。が、少年の目はシュルドなど見ておらず、二人の会話に戸惑うミアに向けられていた。シュルドが口を噤んでいると、「そちらの子は?私が今まで見た事のない人ですが。」
少年がミアを睨みながら聞く。ミアが明らかに怯え出し、シュルドに縋り付くように手を握った。
「この子について、ダルズ総督に話したいんです!あと、ミアが怯えいるのでやめてもらえますか!」
ミアを守るという思いから、シュルドは少年に対抗した。しかし少年はミアを睨むのをやめず、ただ無言で扉を開いた。一方でシュルドは少年に言ってしまったことを思い出してビクビクしぶつぶつと何かを喋っていた。重厚感のある扉が完全に開きシュルドがミアの手を取って進む。ミアが前を見ると、大きな椅子と机に髭の生えたいかにもな男——ダルズがパイプを咥えながら座っている。そこまで、年がいっているようにも見えなかったが、総督と言われるだけのオーラはあった。ダルズはパイプを置き、シュルドとミアをこちらに来るようにて手招きする。
「アルド、ご苦労、下がってよろしい。シュルドと君、こちらに来なさい。」
ダルズが赤髪の少年アルドに声をかけた後、手前にあったソファに座った。シュルドがミアよりも先に座りここへ来るようにとソファを軽く叩く。ミアもシュルドを真似て座った。シュルドが
「ダ、ダルズ総督、こちらの子はミアと言います。六月三日の戦いにおいて…あっ、戦いで倒れていたとこを僕たちが保護したんです。それで、えっと、聞いてみたら記憶が、あの、無くなってるっていう事で連れてきたんですけど…。」
「ミア?」
「あっ、え…。」
ミアについて説明をすると、ダルズは向きを変えミアに向かって話しかけ始める。それに驚き、緊張したミアは上手く返答することができずタジタジになってしまった。
「ミア、君はこれからどうしたい?ここで、シュルドのように医師として働くこともできる。戦いに行くことだってできる。アルドのように管理側になる事だって、君が望むものを選びな。これは、君の人生なのだから。」
ダルズがミアに向かって告げる。その目と声色はシュルドが怯えている人間とは思えないくらい優しく真摯だった。
「ダルズ総督!ミアはまだ、あまり…えっと—」
シュルドがミアは答えられないだろうと思い、口を挟んだ。その時、
「私は——
主です!!
前回の6人ぐらい見てくださったそうでありがとうございます🙏💦
個人的推しのアルドか出てきたので気に入ってもらえると嬉しいです🙌💕
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