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水は透明なんかじゃない。

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水は透明なんかじゃない。

2 - 【第2話】過去だけど。

♥

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2023年04月05日

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中学の頃、俺には好きな人がいた。

彼女は俺のクラスの中心のような人で、

誰にでも面白い話をしてくれる。

決して優しかったわけではなかったが、

異性からも同性からも好かれる魅力があった。

多分顔が良かったから。

彼女に恋心を抱いていた人は、

きっと俺一人では無かっただろう。

彼女はかなりモテていた。

そんな日々が続いていたある日、

俺は彼女に告白していた。

恋心を抱いてから半年くらいだったかな。

でも返事は、無かった。

うんともすんとも返ってこなかった。

そして裏で、彼女が俺の陰口を言っていたことを知った。

キモイだとかウザイだとか。

まるで、騙されたような気分になった。

あぁ、そんな人だったんだなって。

それは、冷めるなんかよりも酷い気分だった。

絶望と、失望と、情けなさが入り交じって、今にも俺は崩れそうになった。

そこで俺は気づいたんだ。


夢を見ていたということに。


俺はずっと、その夢に遊ばれていた。

手のひらの上で転がされていたんだ。

好きな人が誰よりも輝いて見える魔法。

好きな人が少しでも自分に優しくしてくれた時の、もしかしたら脈アリなのではないかと思ってしまう魔法。

でもこれらは、魔法なんかじゃない。


病気だ。

恋の病だ。

恋の病にかかった者は、自我を捨て、好きな人に依存する。

それを美化する者のせいで、その病に気づけない者が多いのだ。


俺はその時から恋を嫌うようになった。

俺は俺を、

失いたくないから。

そう思ってからは簡単だった。

モテたいと思わなくなったし、

人の目を気にすることも無くなった。

俺は自由に生きることができるようになったんだ。

恋をしないこと。

俺にとっては素晴らしい事だった。

これを共感出来る者は、いなかったがな。

水は透明なんかじゃない。

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