あれからさらに数年後
もうかなり経ったのに、霧は晴れていない
でもみんなその環境に慣れたようだった
もうアモールは17歳。霊術団では手慣れの方だ
「アモール先輩!また魔物が出没しました!」
「分かった。すぐ行く」
結局、星が見えづらくなって困る人なんていないんだ…
魔物を掃討している最中、アモールはずっとそんなことを考えていた。影響があるとすれば…
「あ゛〜!」
「どうしたの?」
「また霧がかかってきてみえないのよ!本当、仕事が捗らないわ!」
大陸にある、数少ない天文台。ステラ天文台の人はかなり影響を受けていた
ここは星の国。それ故に星が見えなくなったことで、受ける影響は他国より多い
アモールは考え事をしながら霊術団へ戻った
「悪いねアモール…水を取ってきてくれ」
「分かった」
急ぎ足で水を取ってきて戻る
団長は体調を崩し、今は急遽代理の人物が団長を務めている
団長は病気らしい
「父さん… 」
一番可哀想なのはレンだ。まだ幼いのに
「父さんがいなくなったら、どちらかが代わりをやって欲しい…」
団長はそれから衰弱していき、もう帰らぬ人となった
アモールはこの時に初めて泣いたかもしれない
やがてアモールは団長となった。それにはさまざまな意見が飛び交った
「どこの国のものかも分からないのにこんな役割につかせるのか」
「種族すらも分からないとは、任せられる任務を選べられない」
アモールは自分の事をよく知らない
限界を確かめたかった
その時は予想以上に早く訪れる
「緊急事態です!アモール団長!魔物が…」
レンが慌てた様子で入ってくる
「分かった」
アモールは大急ぎで外に出る。そこではすでに団員が奮闘していた
「アモール団長は下がっていて下さい」
「私も手伝う」
アモールは他の団員を置いていき、敵をあっという間に倒していく
崖を飛び越え、木々を掻い潜る
気づけば敵はいなくなっていた
「アモール団長!」
レンの声が聞こえた時、アモールは意識を失った
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