テラーノベル
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아 오 _ 🐷🐶
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噂のせいで余計に神原さんのことが気になって、頭がどうにかなりそうだったある日。部屋をウロウロしている神原さんを見かけて、私は慣れない仕事の緊張を言い訳に、思い切って、本当に思い切って、核心の質問をぶつけてみたのだ。
K「神原さんって、おいくつなんですか?……あの、子供さんとか、いたりするんですか?」
半分冗談めかして、チャラい先輩をからかうようなトーンを必死で演じながら。
そしたら、神原さんはマスクの奥の目をクシャッと細めて、あっさりとこう言った。
神原さん「ん? 俺? 31になる歳かな!子供? いるいる、3人!」
──3人。
さんにん……?
(いや、ダルすぎる……!!)
せめて1人とかだったら「新米パパさんなんだな」とか可愛い妄想もできたのに、まさかの3人。完全にベテランのパパじゃん。あんなにチャラ格好よくてウロウロしてるのに、お家では3人の子供の父親やってるなんて、ギャップのキャパシティを超えすぎていて本当にだるい。
放心状態の私に、神原さんはさらにスマホをいじるような仕草をしながら、とんでもない爆弾をサラッと落としてきた。
神原さん「あ、そういえばさ、同期のあの子と俺、インスタ繋がってるからさ。アカウント教えてもらって、Kちゃんもフォローしといてよ〜」
K「え……?」
神原さんがウロウロと去っていったあと、私は急いで同期の女の子のところに駆け込んだ。
K「ねえ!! 神原さんとインスタ繋がってんのかよ!教えてよ!!」
同期「ごめんごめん! 言ってなかったっけ? アカウントこれだよー」
教えてもらったアカウントを、ドキドキしながら検索する。
緊張で指を震わせながらフォローボタンを押すと、驚くほどの速さでフォロバが返ってきた。
それだけじゃない。神原さんは、新入社員の私をサラッと『親しい友達』のリストにまで追加してきたのだ。やっぱりこの人、距離感の詰め方がズルくてチャラい。
期待と不安が混ざった複雑な気持ちで、神原さんのアカウントの投稿を遡ってみる。
そこに広がっていたのは、私が絶対に踏み込めない、彼の「本当の日常」だった。
投稿に写っていたのは、3人のお子さんと、奥さんの横顔。
それは誰が見ても、胸が苦しくなるくらい、ものすごく幸せそうな家族の風景だった。
(……あー、もう。本当にだるい……)
画面を閉じて、ベッドにバタンと倒れ込む。
グリーンに囲まれた『親しい友達』のストーリーには、神原さん個人のラフな日常が流れてくる。
3人のパパで、愛する奥さんがいる、絶対に好きになっちゃいけないオトナ。
幸せな家族の形を知ってしまって、胸の奥がチクチクと痛むのに。スマホの画面で光る緑色の輪っかが、私をどんどん、引き返せない沼の奥底へと引きずり込んでいくのだった。
Episode 1. end
To be continued…
コメント
1件
「いるいる、3人!」ってあっさり言われた時のKちゃんの「ダルすぎる…!!」に、思わず声出して笑っちゃいました(笑)。あの放心具合、めちゃくちゃ伝わります。でもインスタの『親しい友達』にサラッと追加される神原さん、距離感の詰め方ほんとズルい…。あの緑の輪っかの描写が、沼に落ちていく感覚を象徴してて、すごく好きです。続き、気になります!