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続き待ってます🥹❣️
「じゃ、始めよっか」
ぐるりと大きな円を作るように並べられた椅子に、足を組んだり背もたれにもたれかかったりと自由に座る。
花魁坂の言葉で噂の、四季と呼ばれて居る女性の話が始まった。
ー10年前
「京夜!!真澄!!無人!!」
制服に身を包んで並んで歩く3人は後ろから呼ばれる。
この3人のこと…花魁坂を除いてこの2人のことをそう呼べるのは1人しか居ない。
「「「四季/四季ちゃん/うるせぇ」」」
振り向いて相手を確認した花魁坂と無蛇野、確認もせずに悪態を吐く淀川。
彼らに突っ込んで行くように飛びつく人影、彼女が一ノ瀬四季。
髪は黒く動きやすいようにベリーショートになっているが、所々髪の毛が跳ねているのが見える。
「真澄、会って早々うるさいって酷くね!」
「事実だからしょうがねぇ」
「ひっでぇ…」
文句を言いながらも真澄自身も彼女から距離を取ろうとはしない。
「まっすー四季ちゃんに優しくしないと嫌われちゃうよ!ねぇダノッチ」
「照れているんだろう」
「あー…そっかそっか、真澄照れてんのか…」
「チッ、ンなわけねぇだろ」
余計な事を言うな、と無蛇野と花魁坂の2人に揃って軽く蹴りを入れた。
「もうすぐ羅刹卒業だけど、皆んなどこ行くん?」
「…偵察隊」
「戦闘部隊」
「援護部隊」
上から順に淀川、無蛇野、花魁坂と揃いも揃ってバラバラな部隊を選択した。
皆んなとは離れ離れか…と少し落ち込む四季に大丈夫だと軽く頭を撫でる花魁坂。
お前はお前らしく鬼神の力を発揮できるところに行けば良いとフォローに回る無蛇野。
不器用に背中を思い切り叩いた淀川。
「イッタ!!」
「一ノ瀬せーんぱい」
背中を摩りながら後ろ見れば、ぎゅっと抱き締められて前が真っ暗になる、けれど特有の甘い香りがする。
「先輩を離せ紫苑」
「おはようございます、一ノ瀬先輩」
「おはyゲホッ…ございます、四季せんpゲホッ」
一回殴ってからそう言う並木度、痛みで手を離した紫苑。いつも通り前髪で目を隠している猫咲、挨拶をしつる血を吐く印南。
「おい、猫咲ぃ」
「はい!」
「こっちには挨拶なしかぁ?」
「幽君おはよー、今日も相変わらずだね」
「今日は普段よりも血が少ないんですよ」
「…大丈夫?」
「四季に抱きつくな」
「え?無蛇野先輩嫉妬ですか?」
「…そんなわけないだろ」
「おはようございます、一ノ瀬先輩」
「馨おはよー」
「大丈夫でした?」
「ん?大丈夫大丈夫!」
たわいもない会話をして、桃太郎と戦って、たまに皆んなで集まって騒いで変わりなく過ごせるんだと思ってた…
「まっすー!!ダノッチ!」
「あぁ」
「聞いている」
羅刹の学園長に呼ばれて向かう、呼び出される事なんてそうそうないから余程の事態なんだってすぐにわかった。
白衣や隊服には汗が染み入った不快感で嫌に重く感じる。思い切り開けた部屋には既に2人は集まっていた。
「3人とも集まってくれてありがとうね」
「早速なんだんだけどね」
「一ノ瀬四季君が消えた」
あぁ、嫌だ。背中の汗も学園長から伝えられた事実も全部嘘ならば良いのに。
「いつですか」
「いつから消えたんですか」
「どこでだ」
聞きたいことは山ほどある。
なんで四季ちゃんが、無事なのか、今どこにいるのか、全部わかんない。
「足跡一つ残さずに」
「忽然と消えた」
「桃の能力かもしれない、彼女が何も言わずに消えることは無いと思うからね。」
「何かわかり次第随時君たちには連絡をする、他の部隊にも伝えておくよ」