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僕は頭を抱えた。
酔っても気にくらいは気にしてほしい。その声は完全に男だろ。
ほんとに、なにも考えられないんだな。
ほら、浮気とか気にしないの?
僕がなにも思わないって思ってるかな。いつも言えないからな。
でも、僕は嫌…だよ、な?
普通に怒りたいのかもしれない。
こんなのじゃ駄目だ。
彼氏は優しく。
彼氏だから、我慢しないと。
「待ってて、今行くから」
と言って電話を切った。
また大きくため息がでた。
こんなため息つくくらいなら断れば良かったけどな、と思いながら、ドアのベルをならして外へでる。
思っていたよりも寒かった。
彼氏って大変だな。嫌だな、断りたかった。
僕にはできなかった。彼氏がそう言うものだと、教えてくれたのは彼女だから。
車を運転して彼女のいる店へ向かう。
フランス料理店だ。
高そうだなあ、僕のお金を持っていって。タンスにしまった金から、十万ほど抜かれていた。
まあ、いいんだ。
普通なんだよね。彼氏だから。
車を走らせる。意外に遠かった。
暗い夜道、でも明るかった。
店の鮮やかな光が町中を照らしていた。
橋がレインボーに光っていた。
僕は見たくなかった。
彼女を思い浮かべてしまいそうだ。
2人でいつかドライブした、あのきれいな虹色の橋を。
そして今の、彼女の明るい髪色を。