シリアス注意。多少痛い描写あります。
💛❤️
「っ、は、ぁっ、はあ、」
電話が鳴り止まない。
いつからこうなったのだろう。前までは確かに幸せだった。
彼曰く、僕のせいらしい。
「元貴って足速いけど、体力ないよね」
吹奏楽で鍛えられた肺に感謝〜、なんて言いながら近づいてくる彼。
「あ……」
必死に走ってきたのに。あっさりと見つかってしまった。
「そんなんで逃げ切れるとでも思ってんの?」
恐怖から目を合わせられないでいると、無理やり顔を掴まれ、顔をあげさせられてしまう。
そこには、普段のファンたちに見せるものとは全く異なった冷たい瞳があった。
だけど、その奥には歪んだ愛情が見えるのも確かで。
これが、彼から離れられない理由なんだろう。
「帰るよ」
彼を『涼ちゃん』と呼ぶには抵抗がある。
これは、涼ちゃんじゃない。きっと誰かに操られているだけ。
だって、前までの涼ちゃんは僕の前でも優しいままだったから。
なのに、急に人が変わったように僕を酷く扱い始めた。
「ほんと困っちゃうね」
彼は鎖を持ってそう笑う。
「ま……っ、涼ちゃん、なにするの……?」
「元貴が逃げなかったら、こんなことしなかったんだよ?」
「やっ、!やめてっ!」
僕よりもはるかに身長が高い彼に抵抗しようとも、そんなのは徒労である。
そんなことはわかっている。わかっているけれど。
すでに装着を義務付けられた首輪に、鎖が繋がれる。
「んー、」
彼は少し悩むそぶりを見せた後、にっこりと笑った。
あ、涼ちゃんだ……
「机に繋ごうと思ったけど……」
この鎖の先には、重い鉛玉のようなおもりがついている。
「ま、行動が制限されすぎると僕も困るからね〜」
ちょっとまってて、と言い残すと、彼はどこかへ行ってしまった。
一体いつになったら『涼ちゃん』は戻ってきてくれるのだろうか。
最近はこの家に帰るのに躊躇してしまうようになった。仕事の時は
普通の『涼ちゃん』なのにな……
「ごめんお待たせー」
手には、果物用ナイフが握られていた。
「ぇ……」
「そんな怯えないでよ」
彼は、熱を持った、捕食者のような目でこちらを捕らえてくる。
「殺さないって」
彼は僕の着ている服をずらすと、二の腕に刃を当ててくる。
ガリ……ガリ……
「ぅ、あ……」
痛みで涙が溢れてくる。
「切れ味いいやつだからそんな痛くないでしょ?」
こんなに深く切られているのに、痛くないわけがない。
深く、何かを刻まれている。
こんな切られ方をしたら、跡が残ってしまうのに。
ザリザリ……ザリザリ……
「よし、できたよ」
「……っ、う……」
痛みでうまく声が出せない。
故意的に傷つけられて、胃がぐるぐるする。
「うぇ……、ぅ、あ……っ」
「嬉しすぎて吐きそう?」
僕の嗚咽を聞いて嬉しそうに微笑む彼の姿は、涙で滲んでいてよく見えなかった。
「……っ、う、」
「あー、嬉しすぎて吐きそうって言っても、ほんとに吐かないでよね」
彼は、僕の唇を舐めると口付けをしてきた。
それは、非常に温かな口付けだった。
「これで元貴は僕だけの所有物だね」
二の腕を見ると、そこには『藤澤涼架』と刻まれていた。
テーマ:離れるならば、
コメント
6件
あんまグロティスクなシーンに耐性無くて、痛そうだな…って思いながら見てました、笑 愛重めなfjsw彡と、fjsw彡の行動に怯えてるomr彡凄い好きです…。( 尊 可哀想な受 癖なんですよね、、 今回も素敵な小説ありがとうございました、!
もっくんほんっと罪深き人だわ…
ふぇー、、 何があったの、、愛しすぎて狂った、、? 描写すご、、語彙力消失 ありがとうございます