テラーノベル
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上映後
エンドロールが終わった。
劇場内が明るくなる。
「……」
「……」
また。
誰も立たなかった。
阿部はメンバーを見回して、不思議そうに首を傾げる。
「……どうだった?」
数秒の沈黙。
最初に口を開いたのは渡辺だった。
「まただ。」
「え?」
「またこれだよ。」
深澤も大きく頷く。
「途中まで普通に恋愛映画だったじゃん。」
「そうやんな!」
康二が身を乗り出す。
「俺、めっちゃええ話やと思って見てたで!?」
佐久間も訴える。
「DV彼氏から逃げてきた女の子が優しい男の人に助けてもらって、少しずつ心を開いて恋に落ちる話だと思うじゃん!」
「そういう映画だったよ?」
阿部が言うと。
「途中までな!」
「最後全部ひっくり返ったじゃん!」
ラウールは真顔で目黒を見る。
「めめ、最近あべちゃんのこと監禁しすぎじゃない?」
「役だから。」
「前の映画も最終的にあべちゃん逃げられなかったよね?」
「脚本家が同じ人なんだからしょうがないでしょ。」
目黒が笑う。
「次こそはサイコホラー以外頑張るって話してたよ。」
「ほんとに?」
岩本が確認する。
「うん。」
「何撮るの?」
「まだ決まってないみたい。」
宮舘が穏やかに言う。
「次は普通の恋愛映画だといいね。」
「そう!」
佐久間が強く頷く。
「出会って! 恋して! 普通に付き合って! 幸せになって終わるやつ!」
渡辺が付け足す。
「あとめめが裏で何も仕組んでないやつ。」
「そこ重要?」
「重要だよ。」
「めめが笑っただけで何かあるんじゃないかって疑うようになったもん。」
阿部が吹き出す。
「もう演技じゃなくても?」
「特にお前と一緒にいる時。」
「ひどい。」
すると目黒が阿部を見る。
「あべちゃん。」
「ん?」
「帰ろっか。」
「うん。」
目黒が自然に阿部の腰へ手を回した。
「……。」
全員の視線が。
その腕に集まる。
43
みら

3,296
チョコ子
537
「何?」
目黒が聞く。
渡辺が即答した。
「離れろ。」
「なんで?」
「映画終わってまだ五分も経ってねぇんだよ。」
「普段からこうじゃん。」
「今は怖い!」
目黒が面白そうに笑う。
その笑顔を見て。
さらに全員が一歩引いた。
阿部だけが呆れたように笑っていた。
「めめ。」
「ん?」
「しばらくみんなの前で俺に優しくするのやめた方がいいかも。」
「なんで?」
「全部裏があるように見えるらしい。」
「困ったなぁ。」
目黒はそう言って。
阿部をさらに自分へ引き寄せる。
「俺、あべちゃんに優しくしないの無理。」
「……ほら!!」
深澤が叫ぶ。
「そういう台詞がもう怖いんだって!」
「次!」
佐久間が脚本家へ届くはずもない声で叫んだ。
「次こそ普通の恋愛映画お願いします!!」
ラウールがぼそっと付け足す。
「……でも次も絶対なんかあると思う。」
全員が。
静かに頷いた。
阿部と目黒だけが。
顔を見合わせて笑っていた。
コメント
3件

ふ〜元彼に連れ戻されるのかと思った でも🖤のサイコパスだね。 上映が終わってからのメンバーが引いてるのが🤭
ハッピーエンドも楽しみです♪
みらさん、こんばんは。読み終わりました…! 今回もじわじわくる“Bad End”感がたまらなかったです…🤍 映画の内容がまたDV彼氏から逃げてきた女の子の話だったのに、最後にどんでん返しがあったってところ、もう完全にみらさんの世界観だなって思いました。メンバーみんなが「またか!」ってなるのも、阿部ちゃんと目黒くんだけが顔見合わせて笑ってるのも、すごく好きな空気感でした。特に「あべちゃんに優しくしないの無理」って台詞、めっちゃ怖いけど甘くて、みらさんらしい表現だなって…! 次こそ普通の恋愛映画で終わるのかな?って思うけど、ラウールの「次も絶対なんかあると思う」に全員が頷くシーンで、思わず笑っちゃいました😂 いつも重すぎず軽すぎない、絶妙な怖さと可愛さがある作品をありがとうございます。次回も楽しみにしてますね🌙💫