この作品はいかがでしたか?
136
この作品はいかがでしたか?
136
──────いえもん視点──────
「参加しないってどういうことですか?」
俺は思わず口をはさむ。今回は強制招集のはずだ。まあ、村長がいいならいいけど…
「メテヲさんは今精神状態が危うく、まともに喋れません。」
めめさんは涼しげに冷徹に言い放つ。
その声のせいなのか場の空気は冷たく、最悪なものへと変わる。
「…強制招集どころじゃなくないですか?メテヲさん治さないとじゃ…?」
みぞれさんが汗を流し、顔面蒼白へと変わる。しかし、その顔をしているのはみぞれさんだけではない。めめさんを除いた全員がそんな顔になっている。
多分俺も同じ顔をしている。
「いえ、メテヲさんの傷は精神的なものなので我々で治すのは不可能です。出来たとしても安静に寝かせる程度ですよ。」
めめさんは聞きたくもない事実を並べ、俺たちを意図してなくても絶望へと導く。
信じたくもなかったし、聞きたくもなかった。
「集まってもらった1つ目の理由がこれです。メテヲさんの精神状態の報告。」
「1つ目…てことはまだあるんですか?」
ガンマスさんは汗を拭いつつ続きがあるのかを問う。顔は見えないが、緊張が高まっているのは間違いない。
「2つ目は…本当は自己紹介をする予定でしたが、メテヲさんの体調が戻ってからにします。」
めめさんは続けて
「3つ目、依頼がはいりました。吸血鬼狩りです。人間からの依頼ですね。まあ、受けなくてもいいんですけど…」
めめさんはそう言って数十枚の手紙をテーブルの上にばら撒く。
不思議に思い、全員が違う手紙を読み始める。
シンクロしていることに笑いそうになったが、今はそういう雰囲気では無い。
俺は静かに読み始めた──────
拝啓 モルス様
美しい雪が夜を飾る冬となりました。
モルス様はいかがお過ごしでしょうか。
突然ご依頼してしまい申し訳ございません。私は吸血鬼の住む地域に比較的近い場所に住んでいるものです。
近頃、夜の間に我々の街から人が数人消える神隠しが起きています。それを巫女様に相談いたしますと、吸血鬼の仕業であることがわかりました。家の前にニンニクや十字架などを設置しても防げず、完全にお手上げの状態になってしまいました。
簡潔に申し上げますと、吸血鬼を駆除していただきたいです。
このままでは町の人数がどんどん減り、いつか村となり、そして消えていくでしょう。是非とも、御力をお借りしたいです。
良いお返事を待っております。
──────そこには吸血鬼狩りをして欲しいという内容の手紙だった。
文字はガタガタで震えており、恐怖しながら書いたことが容易に想像出来る。1部、血が付着しており、何らかの原因で危険な状態であることが分かる。
「…もしかしてこれ、全部吸血鬼関連の依頼?」
ラテさんは怪訝そうな顔で、そう尋ねる。目が笑っていない。
しかし、全員が思ったことはほぼ同じだろう。被害の人数があまりにも多すぎると。
吸血鬼は基本は夜に活動する。まあ、日光をあびたら普通に死ぬため。
そして吸血鬼はなるべくバレないように狩る。こんなにたくさんの手紙などで知らされるレベルにはならないはずだ。
ましてや、そこの住民全員が手紙を送るわけが無いだろう。送るとしても村一つにつきひとつくらいではないだろうか?
だとしたら相当な被害が及ぼされている。
…こちら側に害がないし、困っているのは人間だから放置で良い気がしてきた。
なんて思考に没頭していると、それをすくい上げるかのようにめめさんの発言がみみに飛び込む。
「吸血鬼…まあ、皆さん察して…あぁ、いえもんさん以外察していると思いますが、あの人たちでしょうね。」
「でしょうね」
「だろうな」
「それ以外の可能性がわからんな…」
村民達は当然とばかりに声をあげ、共感したり苦笑いをしたりしている。俺には全く分からないんだが?
「まあ、九分九厘ルカとヒナの2人でしょうね。」
突然聞いたことがない2人の名前が上がり、驚く。俺、どっちも知らないんだが!?
「まあ、説明しますと、その2人は吸血鬼なんですよね。それも大分貴族の。」
「え!?」
貴族ってことも驚いたが、貴族がわざわざ狩りをしているということなのだろうか?俺の中の貴族は市民から金を巻き上げ、私用で金を使い込み、戦争を望み、自分の願いは金で叶え、働きもしない最低野郎というイメージしかない。
そう思っていると、思考を読んだのかれいまりさんが笑い出す。
「たははw貴族に対してとんでもない偏見ですねwあながち間違いではないですけどw」
れいまりさんは俺を指さして笑う。いや、ただの思ったことをそのまま思っただけなのに…思ったことを思う?この言葉、意味わからんな…
なんてセリフツッコミを行う。
「はいはい!注目注目!」
めめさんが手を1、2回叩いて注目を集める。
「依頼を受けるか受けないかは多数決で決めます!」
めめさんの透き通る声が部屋内に轟く。
「「「え?」」」
多分全員が心から思った言葉だ。
はい!ここで切ります!吸血鬼の情報を既に出してしまいましたけど…出さないとめめさん達が情報共有忘れるかなって思って…意図的に忘れさせても良かったと今は思ってます。
まあ、どうせ番外編で出したので意味は無い気がします。
それでは!おつはる!
コメント
100件
まぁ今回は特に分かりやすいわな