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時は数時間前に遡る。エルフ達『猟兵』による厳重な警戒網を敷いた上で夜営を行っていたシャーリィ達は、警戒を維持しつつも交代でしっかりと睡眠を取ることを怠らなかった。

夜明け前に準備を整えた彼女達は、警戒をしながらも朝食を取っていた。

ごきげんよう、森の中での夜営にしては良く休めたシャーリィ=アーキハクトです。

昨日の黄昏防衛戦、ブラッディベアとの戦い。更に森での狼獣人との戦闘で流石に疲れ果てていた私は、アスカと一緒にぐっすりと眠ってしまいました。

ルイ、ベル、リナさん達も疲れているのに私だけぐっすり休んでしまったのは痛恨の極みであり罪悪感もすごく感じました。せめて休んだ分も活躍することで挽回したいと思います。

「もう少し寝てても良かったんだぞ?」

焚き火を囲みながらベルが私に笑い掛けました。

「そう言うわけにもいきません。ベルは休めましたか?」

「昨日はそこまで疲れていないからな、問題はないさ。それより、ルイを少しでも休ませてやってくれ」

ルイも夜を徹していましたが、私が起きて確認すると流石に疲れた顔を見せたので……まあその、切り株を弄った簡単な長椅子に座った私が膝枕をして休ませています。

最近は恋人らしいことが出来ていないので、こんな時ではありますが少しでもルイが休まるならと受け入れました。

まあ、最初は遠慮していたので問答無用で膝枕したら直ぐに寝息を……ふふっ、寝顔が可愛い。

「良い顔をするようになったな、お嬢。ルイのお陰かな?」

「分かりません。自覚がないので」

相変わらず普段は無表情です。もう少し感情を顔に出す努力をしないと……でも交渉では有益なので……迷いますね。

ちなみにアスカは数人のエルフの皆さんと偵察に出ています。何か気になることがある様子。あの娘の勘は頼りになるので、好きにさせています。

「今のうちに腹拵えしとくか。ほら、お嬢。近くの泉で汲んできたんだ。もちろん沸騰させて消毒済みだよ」

ベルは鉄製の水筒を渡してくれました。そう言えば昨日からなにも口にしていない。喉もカラカラですし、お腹もペコペコです。

水筒に口を付けると沸騰させた後でちょっと温くなった水が喉を潤します。うん、美味しい。

水は先ず煮沸消毒するべきだと言うレイミの意見を我が暁は存分に取り入れています。理由?分かりません。ただ聡いレイミが提案するのです。何か有益な理由があるはず。

そのためか分かりませんが、お腹を下す人が減ったような気がします。

「それと、コイツだ。お嬢はあんまり好きじゃないかもしれないがな?」

次にベルが差し出してきたのは……うん、代表的な保存食である干し肉ですね。塩漬けされたされた肉を焙って干したものなんですが、保存を最優先にした結果とっても塩辛い食べ物となったのです。ベルの言う通り、私の苦手な食べ物です。

でも食べないわけにはいきませんから……。

「頂きます……っ!」

齧り付いたのは良いのですが、これは固い!それに塩が!うぅっ……。

「はははっ!お嬢にも苦手なものがあるんだからな、安心できるよ」

ベルは大きな欠片をまるごと食べてます。しっ、信じられないっ!

「保存食の開発にも力を入れたいですね」

「楽しみにしてるぜ」

私は水筒の水を飲みながら少しずつ干し肉を食べていくことにしました。

パンがあれば良いのですが、直ぐに出立したので用意できなかったことが悔やまれます。

いや、今更ながら事後処理を全部セレスティン達に押し付けて飛び出してきた自分の軽率を恥じるべきでしょうか?

それでも笑いながら付き合ってくれるベル達を見ると、感謝しかありませんね。

しばらく朝食を食べながら過ごしていると、リナさんが帰ってきました。

「代表」

「お帰りなさい、リナさん。首尾はどうですか?」

「アスカちゃんの勘は頼りになりますね。獣人ではありませんが、別の集団を発見しました」

別の集団?私達以外に『ロウェルの森』へ?

「リナ、そりゃどう言うことだ?冒険者か?」

ベルが座るように促しながら問い掛けました。

「いえ、それが。その集団は主にゴブリン、オーク、|死霊騎士《アンデッドナイト》です。あと上空にはワイバーンとグリフィンが数体飛び回っていました」

はい?

「なんだ、ダンジョンから溢れてきたのか?」

「いえ、それが……魔物とは思えない統率の取れた動きでした。円陣を組みながら少しずつ南下しています」

「なんだって?そんな話聞いたこともないが」

「何より気になるのは、こんな旗を掲げていました。代表、覚えはありますか?」

リナさんがスケッチを見せてくれました。これは……。

「『聖光教会』の旗?」

「なに?『聖光教会』?教会の旗を魔物達が掲げてるのか?益々意味が分からねぇな」

「ふむ」

謎だらけですね。或いは『聖光教会』は魔物を使役する術を持ち合わせていると考えるべきでしょうか?

だとするならば、その潜在的な戦力は正規軍を凌駕することになるでしょう。何せ、数も質も生身の人間と魔物では比べるまでもありませんからね。

「どうしますか?」

「位置は?」

「ここから西へ少し進んだ場所です」

「目的地は分かりませんが、教会の動向だけは掴んでおきたいですね」

すると、鳥の鳴き声が響き渡りました。それも長さの異なる鳴き声が複数回。これはリナさん達が使っているモールス信号ですね。

事実、リナさんは目を閉じて耳を澄ませています。時折ピクピク動く尖った耳が可愛らしいと感じてしまうのは私だけでしょうか。

「伝達です。『聖光教会』の一団が獣人達と交戦状態に入りました。詳細は不明ですが、苦戦している様子です」

「ますます分からねぇなぁ」

「リナさん、獣人の種類は?」

「狼獣人です、代表」

「では敵ですね。直ぐに移動しますよ。ほら、ルイ。起きて」

「んぉ!?敵か!?」

私が身体を揺するとルイも飛び起きました。頭を打つところでした。危ない。

「当たらずも遠からずです。直ぐに支度を。ほら、これ飲んで」

「おう!」

私が飲んでいた水筒を渡すと、豪快に飲み始めました。間接キス?今更です。

「加勢するのか?お嬢」

「状況を見て判断します。今のところ『聖光教会』とは揉めていませんから」

厳密にはシスターから私の命が狙われたと言う報告を受けていますが、対処については保留しています。

『聖光教会』は何かと厄介な存在です。黄昏、『暁』にも信者が居ますからね。

私達は準備を手早く済ませるとリナさんに先導してもらいながら現場へ急行します。どうやら周囲にも狼獣人達が広く展開しているようですが、私達が到着した東側の一体は既に『猟兵』の皆さんが掃除してくれています。

さて、状況ですが。

「へぇ、獣人が鉄砲を使うのか」

ベルの感想通り、獣人達はマスケット銃を装備して『聖光教会』の一団を追い詰めていますね。

ただ教会側も奮戦していて、これなら……ん、空間が出来た?そしてあれは……中心に居るのは私と同じくらいの女の子……かな?マスケット銃の隊列に狙われてる!

「ウインド!」

私は素早く勇者の剣を手に取ると、ベル達の制止を聞かずに『飛空石』にも魔力を込めて浮遊。風を発生させてマスケット銃の隊列に飛びかかりました。

「輝け!魔法剣!」

そのまま発生させた光輝く刃でマスケット銃を構える狼獣人達に斬りかかりました。個人的な敵を排除しつつ、ついでに人助け。私の気持ちは、少なくともその時はそれだけでした。

暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~

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