恋はまったり

インドア派の目黒が、ドライブして海に行こうと言う。何かあっただろうか？

もう、誰も入らない海。少しずつ寒くなっている。

ドライブ中、目黒は少し怖い顔をして、あまり話さない。

渡辺は、何がしただろうかと考える。臆病な渡辺に、愛想が尽きたのだろうか。

渡辺ーどこ行くの？

目黒ー・・。

渡辺ー止めて？帰る。

目黒ー・・。

誰もいない海。車は停まる。

助手席のドアを開け、渡辺を引っ張り出す。抵抗すら出来る雰囲気ではない。

無言のまま腕を引かれ、波打ち際まできた。

目黒ーもう、翔太くんと別れる。

渡辺ー・・。

目黒ー驚かないの？嫌だって言わないの？

渡辺ーお前・・が、きめた・・んだろ。

目黒ーん、これからは、2人だけで会うことがなくなる。

あの部屋も元通りにしていい。悪いけどタクシーで帰ってくれる？

砂浜に渡辺を残し、目黒は帰って行った。

渡辺はその場に座り込んだ。初めから、遊ばれたのか、だんだん渡辺に飽きたのか？

渡辺は涙も出なかった。こんなものなんだろう。

渡辺ーさよなら。

さて、どうやって帰ろう。

携帯でタクシーを呼ぶ、場所は、電柱に書いてある。

タクシーを待つ間、ぼんやり考える。あの部屋、どうしよう。目黒の家のようなリビング。これからも、あのままで暮らすのか、渡辺はあのままを選んだ。深い意味はない。

そこへ、1台の一目で分かる高級車が入ってきた。

屈強な男と若い女の子が渡辺に向かって歩いてくる。

女の子ー1人なの？

渡辺ー・・。

女の子ー目黒さんは、帰った？

渡辺ーな・・んで？

女の子ー私と、取り引きしたからよ。

渡辺ー・・取り引き？

女の子ーあなたを無事な姿で、これからもテレビに出れるように何もしない。代わりに、目黒さんは私のこと彼女として、付き合う。

渡辺ーそんな勝手な！もし、言う通りしなかったら？

女の子ーこの矢島があなたの相手をするわ。この矢島は、綺麗な男の人が好きなの。

あなた、ぴったりね。

渡辺は、その場から動けなかった。しばらくしてタクシーがやってきた。自宅へ帰る。

部屋の中に目黒がいた。

続く