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「お主に、この『人生リセットボタン』をやろう。」
「これを押せば、今の記憶があるまま赤ん坊に戻り、人生をやり直すことができる」
「もちろん、そのまま死ぬことや、戻る時間、歳を選ぶも可能だ」
ある夜、家に死神と名乗るものが現れそう言われた。
頭が追い付いてない。
人生をやり直すことができる?記憶が残ったまま?死ぬ?戻る時間?
何一つわからない俺に、死神は言った。
「今すぐには決められぬか…」
「一週間待ってやる。それまでに押すか押さないか決めろ」
「あ、ちょ…!!」
口にした時にはもう遅い。
死神はスーっとどこかに消えてしまった。
頭の中を整理しきってから、よく考える。
本当に人生をやり直すことができるのか、そもそも死神はなんで俺の目の前に現れたのか、もし俺が押さなかったらそのボタンはどうなるのか
考えたらキリがない。
とりあえずボタンを襖の中にしまって今日は寝た。
昨日はなにか、物凄いことがあったような…
俺は朝起きてすぐに考え、ハッとする。
人生リセットボタンだ。
正直押す気はない。
今の人生に不満が無いと言ったら嘘になるけど、幸せのほうがずっと大きいから。
学生の頃は「あの日にやり直せたら…」「あの時にあぁ言ってれば…」とか考えまくってたなぁ、、と久々に思い出した。
小学生の頃はふつーうの楽しい生活を送ってた。
中学生で、クラスの中心的存在にいる陽キャグループに目を付けられ、いじめの対象となった。
アイツらはいじりとかお遊び程度に思ってるかもしれないけど、俺は違う。あれはいじめだ。
あの日、いじめっ子集団に逆らわなければこうなることはなかったのに…と毎日考えていた。
そんな中、いじめっ子集団は俺の 体型をいじった。
一番気にしていたものを口に出して言われるとこんなにムカつくことを初めて知ったよ。
そのお陰でダイエットしようと心に決めたっけな…
バランスのよい食事、適度な運動、生活リズムの整え
3年間毎日やっていたら、 みるみるうちに体重が減っていく
幸いなことに、リバウンドしなかった。
今思えば、あの日体型をいじられなければダイエットすることなんてなかったんだろう。
ちょいと癪だけどアイツらに感謝だな。
高校生は特に何事もなく、平和だった 。
中学の時と変わらなかったのは俺が陰キャだってこと。
そんな俺にも平等に接してくれたのが元カノ。
見た目さめちゃくちゃ清楚で美人だけど話すと凄い。
陰キャオタクな俺の話を聞かないなんて事はなく、逆にめっちゃ質問してくる。
「○○君はあのアニメで誰が一番好き?私はね~」
「今回の新作ゲーム凄い楽しかったね!また一緒にやろう!」
「ねね~、数学のここの問題、先生に聞いても意味わからなくってさ…笑 ○○君が教えるの上手って聞いて! …教えてくれない?」
彼女とは一緒にグッズを買いに行ったり、時にはあるグループのライブを見たい、と県外まで旅行にも行った仲だ。
美人な彼女と陰キャな俺が仲良くしていることを気にくわないのか、陽キャグループの一人が
「○○、中学の時みたいにまた痛い目見せてやろうか?w」
って言ってきた。
面倒なことにしたくなかったから俺は何も言わなかった。陽キャはそれが余計気にくわなかったらしい。
「なんとか言ったらどうだ!!?」
ブンッと振り上げた拳。
流石の俺もビビって反射的に目を瞑った。がその拳が俺に振れることはなかった。
目を開けると、俺の前には彼女が…
「…○○ちゃん?なんで陰キャオタク野郎なんかの味方するんだよ?」
「人に暴力振るうなんて最っ低wてか今更いじめとかダッサ~w」
「群れでしか行動できないお前らなんかより、人に何を言われようと言い返したりしない○○君の方がカッコいいわ!」
いじめっ子集団は、美人な彼女がこんなこと言うなんて思いもしなかったらしく、目を丸くして驚いている。
まぁ俺は彼女のこんな姿も知ってたからあんま驚かなかった。
その日の帰り道、俺は彼女に言った。
「今日は、俺のこと庇ってくれてありがとう」
「いいよいいよ!私もオタクだし、アイツらに私のことも言われてるみたいでムカついただけだもん!」
「あの…俺と付き合ってくれませんか…?」
彼女の目から透明な液体が溢れ落ちる。
「ごめん!そんなに嫌だった、?」
「ううん…違うの…」
「私、見た目と性格が合ってない、とか、口悪いってわかると、そんな奴だと思ってなかった、とか…言われたことあって…」
「素の私見ても一緒にいてくれるのが、○○君しかいなかったから…嬉しくて…」
「私も、○○君のこと大好き…!」
「よろしくお願いしますっ!」
彼女はにこっと笑った。