テラーノベル
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君に気づいてもらえなくても。
第三話連載開始です!
終わりはハッピーエンドですよ!
「多分ここら辺かな?」
もうすぐ夜明け。
一つだけ見ておきたい所に行くことにした。
「…あ、よかった開いてたや」
僕は大きな扉を開けた。
手慣れたように廊下を歩き、ここまで来た。
「懐かしい気がするな〜、百鬼学園は」
そう、僕が来たのは百鬼学園なのだ。
そして現在地は学園長室。
学園長…いや、道満さんが見たかったから来たのだ。
1000年前にご先祖様を亡くし、現在になって生まれ変わりである僕まで亡くした。
人は心に負った傷が癒えることは無い。
それは妖怪も神様も同じだろう。
「はぁ…はぁ…」
「…道満さん、寝てるなぁ」
お面を外した道満さんは悲しそうな表情で魘されていた。
「…どんな夢を見てるんだろ」
魘されてるから怖い夢?
夢の中くらいはゆっくり休ませてあげればいいのに。
「僕が、苦しさを吸い取ってあげればいいのに」
僕は死者だからそんなこと出来ないけど、願うことは出来るから。
「大丈夫ですよ、道満さん…1人じゃないですから」
「はぁはぁッ…」
ずうっと魘されてて苦しそう。
僕なんかに気づいていない。
本当に、自分がある意味がわからなくなってきた。
何のために命を張った?
何を目指して教師になった?
この僕が、本物じゃない気がして。
「本当は…僕なんて元から存在しなかったのかなぁ、?」
悪夢を見てる人にすら何も出来ず、見てだけだった。
生きている頃と、死んでいる今。
皆と笑顔だった日から、皆を泣かせる日々にした。
「いっそ、気づいてもらえなくてもいいのかなぁ、?」
ごめんね、学園長。
ごめんなさい、道満さん。
何のために僕は道満さんに会いに来たんだろう。
何も出来ない死者なのに。
「あっちゃーんって…また魘されてるじゃん」
窓が開いた。
聞き慣れた声で、柔く言う。
「隊長さん…」
「ほ〜ら、夢から起きて〜」
「んん…」
「もう…あっちゃんったら…」
「るっせぇ…盗っ人」
この会話だけで笑みが広がる。
僕は何にも出来ないけど、
隊長さんが居るだけで道満さんは笑顔になれる。
僕なんかが居なくても。
「道満さん、隊長さん…」
「僕が居なくっても笑顔になってくれて嬉しいです…」
僕は誰からも見てもらえないし気づいてももらえない。
昔みたいに笑えないから。
「もう、手遅れなんですよ…ッ」
君には僕は見えないけど精一杯笑った。
また明日、生徒たちを見ようと思いながら僕は学園長室を後にした。
「私は見えていますよ、安倍先生」
そして1人、影に隠れて晴明を見つめる。
「過去に縛られるなんて、大陰陽師安倍晴明と変わらないんじゃないんですかね…」
昨日サブ垢作りました。
次回:君が1人で悩んだら。
コメント
7件
グッ泣きそう(´;ω;`) アカウント作ったん? 時間あったら探してくるね!
晴明の視点が心臓をぎゅっと締め付けてくるぅ!頑張って新しく作ったアカウント探してみるぞ!
誰だ!晴明みえてるやつ、!あ、あと関係ないけど今日誕生日✨w