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8 ◇ちゃんと別れるから……
「待って! 石田さんとのことは謝るから、ひまり、そんなこと
言わないでほしい。ちゃんと石田さんとは別れるから」
「私、2番目の女にはなりたくない。
あなたも変なところで取り繕ろわずに自分の気持ちに正直になればいいのよ。
しばらくは会社に居ずらいかもしれないけど、そんなの大丈夫だから。
人の噂も七十五日って昔の人は言ってたかもしれないけど、今は毎日が
スピィーディーに過ぎて行く時代なんだから、その半分くらいで皆忘れるわよ。
妻の私がそれでまぁ~るくおさめてあげるって言ってるんだから
是非ともそうすれば?」
「いやいや、待ってよ、ひまり。
俺、ひまりと別れるなんてこと一度も考えたことないから」
「滉星ったら最後までいい人ぶっちゃって。
そんなに気を使うことないのに、ふふっ」
「違う。本心からだよ。約束な、離婚はしないから」
そう言うや否や、滉星はスマホを取り出し電話しはじめる。
私は急に何してるんだろうって、ぼんやり眺めてた。
『何が始まるのだろう。誰に……えっ、まさか』
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「もしもし、日比野です。
突然だけど妻に僕たちのこと知られてしまった。
だからもうこういう関係じゃいられないので今日で石田さんとのことは
思い出にする……思い出にします。
いままでありがとうございました」
石田さんって人がどういう反応だったのか、滉星はそれっきり
一方的に話をすると電話を切ってしまった。