その後は仕事の用意などをして、2人でバタバタと家を出た。
迎えの車を待っているとき、外はやっぱり寒くて、可愛い猫耳のニット帽をかぶってきた涼ちゃんに、それ暖かそうだね、かわいいねって声をかけた。
俺の目を見てにこっと笑って、さっとあたりを見渡して、暖かい手で両頬を包まれた、と思ったら。
ちゅ、っとおでこにキスされた。
「ちょっ、りょ、え」
思わず驚いて少し離れた。
「えへへ、可愛いなんていうからだよー、大丈夫、誰もいないから」
「···びっくりしたわ、もう、なにさっき意地悪したから?ほんともう···」
嬉しさでニヤニヤしてしまう、こんなことで喜んでしまう俺って涼ちゃんのこと大好きすぎるんだろな···
そして涼ちゃん、普通に周りに人いたよ···
ちょうど迎えにきた車に乗り込んで、まだ少しドキドキしている俺を見て、涼ちゃんは隣の席に座り、満足そうに、ニコニコしていた。
やっぱり余裕を感じる、俺ばっかり好きなんじゃないかって。
俺には、涼ちゃんしかいないのに。
他の人なんて、俺にはいないのに。
また少し、胸がザワつく。
そんなザワつきを振り払うように少し頭を振って、りょうちゃんの耳元に唇を近づけ小声で喋る。
「ねぇ、涼ちゃん?さっきしてくれたとき、普通に人いたけど、気づいてなかったの?」
「でぇ、ふぁぁあ?!」
ガンッ
「いたぁっ!!」
大声を出して仰け反って頭を車内で盛大にぶつけた涼ちゃんに、運転手が大丈夫ですか?!と声をかけている。
「いやっ、大丈夫です、ちょっと、驚いて、思い出しびっくりしちゃった、あれびっくりしたなーみたいな···」
しどろもどろになりながら必死になって言い訳してる。
そんな状況を横目で見ながら満足した俺は、始まってもいないのに早く仕事が終わって二人きりになりたいな、なんてぼんやりと考えていた。
コメント
2件
すぅぅぅきぃぃぃぃ!!フォロー失礼しまぁぁす!!!