人はいずれ、愛していた人ですら忘れてしまうのだろうか─────。
今日は異様に蒸し暑くて、蝉の鳴き声がいつもよりも増して煩い。
学校終わりの帰り道、俺は遠回りをして昔に通っていた小学校の近くを歩いてみた。
木の枝に乗りかかり凛とした声で鳴く鳥、どこからか聞こえる子供の声、今日は特に何も無い日なのに少しだけ特別感を感じる。小学校を見つめながら、当時を振り返る。昔から俺は学業成績は良いものの、周りとは馴染めなかった。正直、自分でも諦めていたんだろう。
、、、、
さっきまで感じていた特別感は風と共にどこかに去り、俺は俯きがちになりながら家に帰ることにした。
正直家に帰る事が苦痛で、家とも呼びたくなかった。でも、強くならければいけない。ずっとそう思って過ごしてきたから。
そうやっていつものように心にとどめながら不安定な足で家に向かっていく。
気がついたら、ドアの前に立っていた。
嫌な事に向かう時はいつも時間が経つのが早い。軽いため息をつく。そしてドアノブをひねり、家の中に入る。
今日は幸い両親も居なくて、俺は安堵しながらも自分の部屋に入った。
部屋の中は、カーテンから漏れる夕日の色で染まっていて、どこか落ち着く。
このまま眠ってしまおうか迷いながらも、やらないといけないことが頭の中を巡る。
「……」
結局眠ってしまった。
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