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荒くなる呼吸の中、葛葉さんが顔を上げベッドサイドに手を伸ばす
その手にはシルバーの小さな袋
それを歯で噛み切ろうとしている
結婚してからも葛葉さんは避妊していた
理由は、かなたと2年は離れて次の子を授かりたかったから
でももう2年は過ぎた
葛葉さんはまだ次の子を考えていないのかも
それともやっぱり‥‥
あの日記を思い出す
もしかして自分の子供を授かることに遠慮してる‥‥とか?
だとしたらそんな事‥‥
俺は葛葉さんの口元の小袋を取り上げた
「‥‥なんだ?‥‥したくない?」
「ううん‥‥そうじゃない」
「じゃあ返せよ」
「なぁ、もうそろそろかなたに兄弟作らないか?」
「え‥‥‥‥」
明らかに動揺する瞳
1人で背負ってきた葛葉さん
ここで日記のことを言うべきか‥‥
いつまでも知らない振りも出来ない
でもまだ直接言うのは怖い
だけど‥‥‥‥
「‥‥葛葉さんの子が欲しい」
「え‥‥‥‥」
「だから‥‥葛葉さんが‥‥葛葉が欲しい」
「お前‥‥」
「俺は葛葉が良いパパだって知ってる。だから2人に増えたって平気だろ?」
「それは‥‥平気だけど‥‥」
「これは自然に任せる事だから、そうなったら良いなって事。でも俺は葛葉だけ‥‥葛葉じゃなきゃっ‥‥んぁっ!」
俺は葛葉さんが入ってきた快感に手から袋を落とした
その手を握られ口を塞がれる
そしてその唇が少し離されると‥‥
「‥‥ありがとう」
「んっ‥‥何がだよ」
「お前が俺の日記‥‥‥‥」
葛葉さんが何か言おうとする事に今度は俺が口を塞いだ
「‥‥葛葉さんの言いたい事、俺が全部飲み込んだから。だから大丈夫」
「‥‥ロウ」
「俺は幸せだ。俺達3人は出会うべくして出会ったんだ。だから俺たちは今ここにいる」
「3人‥‥ロウ‥‥もう一度『葛葉』って言って」
「葛葉‥‥」
「フッ‥‥お前達の事幸せにするって決めてたのに、いつもロウに幸せをもらってる」
「俺だって目が覚めたあの日から‥‥きっとその前だって全部大切で今が幸せだよ」
「‥‥これからだって幸せにしてやる」
「んあっ!‥‥葛葉っ‥‥ああっ」
葛葉さんが中で動く度、気持ちが溢れていく
そして中で弾けた瞬間から身体が痺れだす
それは快感となり、全身に広がった
葛葉さんが俺の中から出ていきそうになる
俺は葛葉さんの腰に脚を絡めた
「やだ‥‥行かないで」
「ん‥‥行かないよ」
葛葉さんの熱を感じながら俺達は一晩中愛を深め合った
翌朝
まだ早い時間だというのに、隣に葛葉さんがいない
寝室を出て廊下に出ると、かなたの部屋の扉が開いていた
中に入ると葛葉さんがかなたの顔を撫でていた
俺は葛葉さんの隣に立ち、背中をさする
「おはよう」
「オハヨ‥‥」
「よく眠ってるな」
「そうだな」
かなたは鼻息を立て、猫のぬいぐるみを抱きながら寝ている
「俺‥‥かなたの父親になれてるかな」
「なれてるも何も父親だろ?」
「‥‥そうだよ」
「しかもこの子は2倍幸せなんだから」
「なんで?」
「しっ!大きな声だすなよ‥‥さぁ、朝ごはんの用意しに行こう」
「なんだよ‥‥教えねーのかよ」
かなたには葛葉さんと叶さんがいる
だから2倍‥‥3倍、4倍幸せになれるんだよ?
END.