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白鏡 恋毒🇬🇧🎀🔪
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汽車はゆっくりと動き出した。
車輪がレールをガタン、ガタンと叩く音が、規則的に響いている。
窓の外では、見慣れた街並みが、時計塔が少しずつ遠ざかっていった。
もう戻れない。
そんな気がした。
俺は座席に腰を下ろし、深く息をついた。
その時だった。
「お、フリードリヒじゃないか!! 」
聞き覚えのある声がした。
顔を上げると、そこにはあの青年が立っていた。
「俺だ 俺 クルト・ハンスだよ!!」
彼はそう言って笑った。
「ああ、クルトかさっき会ったな。 」
俺がそう言うと、クルトは嬉しそうに頷いた。
「どうやらあんたと席も隣のようだな!!」
そう言って、彼は俺の隣の席に腰を下ろした。
「俺達の行く戦争ってのはいったいどんなのなんだろうか?」
クルトは窓の外を見ながら言った。
「きっとすぐ終わるさ。今年のクリスマスまでには家に帰れる話だってさ。」
俺は何も言わなかった。
その時、向かいの席から声がした。
「お前ら、新兵か?」
そこには、俺達よりも年上のような男が座っていた。
「俺はヴェルナー・クラウスだ。 」
落ち着いた低い声だった。
さらにその横で、別の青年が笑った。
「おいおい、そんな堅い顔すんなって!! 」
「俺の名前はギュンター・アーノルトだ!!
アーノルトって呼んでくれよな!!」
「戦争なんて大したことないさ!!みんなで帰ってビールでも飲もうぜ!!」
車内に笑い声が広がった。
だがその時俺達は、まだ知る由もなかった。
この列車が向かう先に、
どんな地獄が待っているかを。