夢主に“好きな人がいる”と告げられたら
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ハイネ
「……そうですか。貴方が、そこまで誰かを想うとは」
机に置いていた本に目を落とすも、ページはまったく進んでいない。
「その方が、貴方の気持ちに気づいてくださるといいですね」
口調は淡々としているが、指先は少し震えている。
「……私は、応援いたします。貴方の幸せが、最も望ましい形ですから」
(心では「その“誰か”が、私であれば」と願いながら)
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カイ
「……そっか」
しばらく沈黙したあと、目をそらす。
「……で、その相手は……ここにいるの?」
「…いや、答えなくていい」
背中を向けて去ろうとするが、扉の前で立ち止まり、
「……その人が、羨ましい」
小さくそう呟いて、立ち去る。
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ブルーノ
「……驚いた。貴殿が、そんなに深く人を想うとは」
けれど、すぐに理性の仮面を整えて、メガネを押し上げる。
「それが正しい恋であれ、間違った恋であれ、自分は止めない。ただ……」
少しだけ口調が乱れる。
「その相手が、貴方にふさわしいと、どうか証明してくれますように」
(“自分なら、誰よりも証明できたのに”という言葉は、呑み込まれる)
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レオンハルト
「は? 好きなヤツ……? ……お、おまっ……誰だよそいつ!」
声が裏返りつつも、動揺を隠せない。
「え、ぼくじゃ……ないの? あ、そ。ふーん……っ!」
急に踵を返して走っていくけれど、あとで🌸の部屋の前でなきべそかいてる。
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リヒト
「……そっか」
一瞬、笑顔が引きつる。けれどすぐに、いつもの調子に戻って。
「へぇ〜、その人見る目あるかもね。君みたいな子に想われるなんて」
でも、そのあとの彼の瞳はちょっとだけ暗い。
「その人が君のこと大事にしなかったら、俺が全力でさらってくから、よろしくね?」
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ヴィクトール
「そうか……君に、好きな人がいるとは」
椅子に腰かけたまま、手の中の書類を丁寧に閉じる。
「……それが私でなかったとしても、私は君の想いを否定しない」
穏やかに笑うけれど、その目の奥に寂しげな色が差す。
「だが、その人が君を悲しませた時には……遠慮なく、私が奪いに行こう」
――王としてではなく、ひとりの男として。
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