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妻に不満なんかあるはずがない。大切だしなにより愛している。
一目惚れして押しに押して結婚する事ができた彼女を独り占めしたくて仕事を辞めてもらった。
妻として家事も完璧で何より料理が旨くて幸せだった。
妻は奥手だったようで異性との交際ももちろん経験もオレが初めてだったから、結婚して2年経った今でもベッドの中での姿は初々しくて可愛いし特に不満も無い。
単なる興味本位だった。
刺激が欲しかっただけだった。
それほど酒が好きなわけではないから飲み会にはほとんど参加することがなかった。
ただ今回は営業部に中途採用ではあるが新人が入ってきたことの歓迎会だったから参加せざるを得なかった。
営業部と総務部の合同になり、それなりに楽しんで飲んでいたがいつのまにか隣に総務部の大森さんが座っていた。
酔っているせいかやたらとボディタッチや下ネタが多い人でさりげなくかわしていた。
二次会は参加するつもりがなかったので帰宅組の四人で駅に向かったが、二人は反対ホームということで大森さんと二人で電車に乗った。
あの時、もっとしっかりしていれば
大森さんは小柄だが肉感的でいわば男好きのするタイプで、妻である有佳はスレンダーの清楚系美人で正反対だ。
「片桐くんって結婚してるんだっけ?」
「ええ、二年になります」
「少し落ち着いた感じ?」
「落ち着いた?」
「夜の話」
いつの間にか隣に座り一体何を言い出すのかと思ったが、どうせ酔っぱらいの話だと適当に流していたが、かなりしつこい性格のようでペラペラと夜の生活について喋り出した。
恋人がタンパクだの、忙しくてなかなか会えなくて欲求不満だの、細かいことまで覚えていないが恋人について愚痴っていた。
てっきり大森さんは二次会に行くと思っていたが、帰りの電車まで一緒だった。正直に言うと、話も合わないし二人で電車に乗るのは気が引けるがあからさまに避けるわけにもいかず電車に乗った。
電車の中はそこそこに混んでいて扉付近で向かい合わせに密着する形になった。
身長差の関係で向かい合わせになっていると顎の下に頭がくる形ですっぽりとハマっている為、これ以上密着しないように顔を上げて扉に両手をついた。
下半身に血が集まって行く感覚がして下を見ると大森さんがオレのモノをスラックスの上から触っていた。
最初は密着しているせいだと思おうとしたが、手の動きが明らかに攻略しようという意思があり巧妙でもある。
下は充分に反応してしまっているが、のってはいけないと両手で扉を押して体を離そうと思っても大森さんはさらに体を密着させてスラックスのファスナーを下ろすと指を忍ばせてきた。
「次の駅で降りない?」
オレを誘って見上げる顔は欲情してギラギラとし、厚めの唇はしっとりと濡れていた。
この口でしてもらったら気持ちよさそうだ、どうせ大森さんも恋人がいて誘っているんだしこんなことは有佳にさせられない。
一度くらいなら・・・・
そう思ってしまった。
二人がいる側の扉が開くと、とっさに大森さんの腕を掴み、ホームに降り立った。
ホテルに入るとすぐに大森さんの口の中で一度目の射精をして、フロントからの連絡で我に返えるまで獣のように抱き合った。
「片桐くんって結構肉食なんだ、いつもこんなに激しいの」
あわてて服を着ながら「そんなことは無いけど」と自分でもよく分らない返事をした。
「せっかくだから、泊まっていかない?片桐くん激しすぎて疲れちゃった」
裸のままベッドに横たわり服を着るそぶりも無いため、財布から一万円札を取り出すとテーブルに置いた。
延長で泊まったとしても間に合うだろう
「ごめん、今日のことはお互い忘れよう、大森さんも彼氏がいるし」
じゃあ、と言って急いでホテルを出た。
有佳が口でするとかオレからお願いするとかも無いから、久しぶりの刺激だった。
気持ちがよかったがそれ以上に有佳に対しての罪悪感に押しつぶされそうでコンビニに入るとウィスキーを購入して公園でラッパ飲みをした。
酔って忘れたい
朝、目が覚めたら夢であって欲しかった。
出勤すると部内がざわついていた。
「何かあったんですか?課長」
「鈴木が昨夜事故で入院してしまって、鈴木の仕事を割り振らないといけないんだ。悪いが片桐にも負担してもらう」
「それはいいですが、鈴木さんの容態はどうなんですか?」
「意識はあるが足を骨折しているからしばらくは安静らしい」
「そうですか、骨折はしてますが命には別状がなくてよかったです」
「う~ん、いいんだかどうだか・・・片桐の分はメールで指示してあるからよろしく」
そう言うと課長は他の社員に指示を出し始めた。
普段は外で食べているが振り分けられた仕事の量が思った以上に多く、コンビニでサンドイッチや栄養補助食品を買い込み有佳に連絡をした。
「同じ部署の人が事故って、そいつの仕事を引き継がなくちゃいけないから今夜は遅くなるよ」
「わかった、あまり無理しないでね」
昼休みも返上したが、他人の仕事でもあるため理解をすることから始めなくてはいけない。
「てか、鈴木って仕事が雑だな・・・」
「「だよな」」
鈴木の仕事の分担をしている同僚で友人の田中と斉藤が合唱のように答えた。
「みんなでって言って結局3人かよ。オレこの後デートなんだよな~」と仕事はできるがチャラ男の斉藤がボヤくと
「彼女ができたんだ?」と田中がツッコむ
「う~ん、エッチなお友達の一人ね」
「相変わらずだな、いつか刺されるぞ」田中は呆れ気味に言うとコーヒーを一気に喉に流し込んだ。
「腹上死なら本望だ!って、片桐は奥さん一筋だもんな~今度会わせろよ」
「お前になんか嫌だよ」とパソコン画面から目を上げると二人はすっかり帰り支度だった。
「え?もう終わったのか?」
「まさか、俺らは明日、休日出勤することにしたんだよ」
「なるほど、オレは土日は妻とゆっくりしたいから今夜頑張るよ」
「「じゃあな」」と言って二人が出て行くのを見届けると、一度伸びをしてからパソコンに向かった。
結局一人で残っていると、電話もなく雑務が無い為仕事がサクサクと進み月曜日からは通常業務+αくらいで作業ができそうだ。
「あと一息」
首と肩を回しているとフロアに誰かが入って来た。
「片桐くんが一人で残業してるっていうから、差し入れを持って来ちゃった」
声のする方を見ると、あの日以来気まずくて避けていた大森さんだった。
「でも、もうすぐ終わるので大丈夫です」
関わりたくない一心でパソコンに向かい作業を急ぐが、オレの態度を気にすること無く近づいてきた。
「差し入れ」と言うと、隣の席の椅子に座りバッグから栄養ドリンクを取り出してデスクの上に置いた。
ちらりと目線だけでドリンクを確認するとパソコンから目を離さずに「ありがとうございます、あとでいただきます」となるべく冷たく答えたが、大森さんは気にも留めずにグッと近づき「もう一つあるの」といってバックの中身を見せた。
そこには、強壮剤とコンドームが入っていて前傾姿勢になっている彼女の胸元はボタンが外され乳輪まではっきりと見えた。
「何をしてるんですか、仕事をしないといけないんで帰ってもらえますか?」
「ふふふ、こんな所を見られたら誤解されちゃうかも」
「だから、誰かが来る前に帰ってください」
なんとか追い返そうと思っていた矢先にドアをノックする音が聞こえた。
大森さんは自分でボタンを外しているとはいえ、今入ってきた人間には分らないだろう。それ以前にオレは既婚者だ。
“まずい”
と思ったら、大森さんが俺のデスクの下に潜り込んできた。
いや、これもダメだろうと思っているとドアが開かれ、制服姿の男性が入ってきた。
「まだいらっしゃったんですね、帰宅の際は電気と戸締まりをお願いします」
警備員と話をしている間、大森さんはオレのモノを舌で味わっていた。
神経がすべて一部に集まりつつある中かろうじて「わかりました」と返事をすることができた。
結局、彼女の“差し入れ”を受け入れた。