テラーノベル
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十二年と少し前のこと、ある少年は自身の母の職場である病院で母の仕事が終わるのを静かに待っていた。
『偉いね』と母の同業者が優しく頭を撫でる。
それが日常で変わったことなどなかった。
ある少年が彼の世界に入り込んでくるまでは。
_『 こんにちは 。 』
_『 … 、こんにちは 。 』
点滴が腕に刺さっている、歩くのがおぼつかない様子の少年は彼を見て首をかしげた。
_『 ひとり ? 』
_『 ひとり 。 』
少年が言ったことに対して彼は目線も合わせずに冷たく返した。
どうせまた一人になるから、そうしていたら少年はいずれ去るだろうと、そう思ったから。
少年は彼のその予想を裏切り、彼のすぐ隣に座った。
_『 じゃ ぁ 一緒 に 話そ ? 』
_『 … … 、 』
暖かく微笑む少年に彼は言葉を失った。
桃『 俺 、桜木 蘭 。 』
赫『 … 暇 夏 。 』
桃『 よろしくね 。 』
差し出された年相応ではない小さならんの手をなつはしっかりと握った。
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ボフッと音を鳴らして先程までゲームの画面が映っていたスマートフォンをベッドに投げた。
なつは重力に身体を委ね大きな枕をぎゅぅっと強く抱き締める。
仰向けになったスマートフォンから通知音が鳴り、なつは少し時間を置いてからスマートフォンの画面を見た。
深夜の電気のついていない部屋の中、画面から反射して網膜に映るその映像になつは瞳を収縮させた。
赫「 らん … 。 」
最愛の人の名を小さく口にして、すぐさまスマートフォンに映る通知を指で押した。
要件は『明日なつの家に行っていいか』を問うものだった。
なつはあげた口角を戻して、冷たい言葉をキーボードで打った。
〈 そんなこと 聞かんでも 、お前 いっつも 勝手 に 入ってきてんじゃん 。 〉
〈 え − 、人違いじゃない ? 〉
〈 なわけあるか 。 〉
とぼけるらんのメッセージに対して微笑みを溢してからまたメッセージを送った。
慣れたような、新鮮味など全くない文章の羅列だった。
稀灯 夏成🩵🍸
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それは二人が友人以上の関係にないことを意味していた。
その事実を受け入れたくなくて、なつは舌を噛んだ。
〈 なぁ 、 〉
〈 ん 、なに ? 〉
今度はなつから話を切り出した。
淡々とした言葉を打ち、一瞬、ほんの一瞬だけこのことを問うことを躊躇った。
でもそれはほんの一瞬のことで、次の瞬間には送信ボタンを押していた。
〈 お前 、すち の こと 好きなん ? 〉
そのことを聞くことはなつにとって心苦しいことであった。
〈 なに 、なっちゃん もしかして すち の こと 好き ?( 笑 〉
〈 そうじゃなくて 、お前 が だよ 。 〉
苛立ちを込めながらも冷静にらんにメッセージを送信した。
〈 別 に 好きじゃないよ 、普通 。 〉
少し間をあけてからそのメッセージが返ってきた。
その行動になつはどちらなのか迷った。
メッセージの内容は嘘なのか、本当なのか、
それがわからない、だがこれ以上聞けない。
なつは自身が聞こえるかも怪しいような音で舌打ちをした。
〈 あっそ 。 〉
〈 は ? え ? なんで 聞いたのさ 。 〉
端的な言葉をメール上に残してなつはスマートフォンの電源を落とした。
それからなつは何度も鳴るスマートフォンの通知音にわざと無視を返し、がむしゃらになりながら掛け布団を頭から被った。
赫「 なんでだよ ッ … 、 」
頬をつたう生温いものを気にもとめずになつは強くシーツを握った。
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コメント
2件
なっちゃん………………
あ〜〜最新話読み終えたよ…!! 冒頭の12年前の出会い、今の切ない関係に重なる感じがもうエモすぎてやば😭💕 「好きじゃないよ、普通」って返してきた蘭になつが舌噛んだり、布団かぶって泣くシーン、心臓ぎゅってなった…!! あの頃みたいに素直になれない二人がもどかしくて愛おしいよ…次が気になりすぎる〜!!🌸