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稀灯 夏成🩵🍸
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その日、すちのクラスでは立候補者を募っていた。
すちはクラスの陰に隠れてその様子を静かに見守っていた。
桃『 じゃ − 、次 !借り物競走 行きたい人 − 。 』
赫『 ぁ − い 。 』
翠『 … … 。 』
体育祭の種目で何に出るか、というもの。
らんは学級委員のため、自動的に前に立ち立候補者を募っている。
借り物競走になった瞬間、なつは手を挙げた。
すちはその様子を横目で見ながら気配を消していた。
桃『 なっちゃん できんの − ? 運動神経皆無 の くせ に 。 』
赫『 できるわ 、なめんな 。 』
クラスのほとんどがいる中で公開いちゃつきを始めるものだからその他の生徒はひやかしに徹する。
そんな光景を目に焼き付けるのがいやで、すちは机に突っ伏した。
桃『 じゃあ 次 ! 』
一旦話をまとめてらんは次の種目に話題を移し替える。
桃『 競争 っ ! 』
クラス対抗のリレー競争をわけのわからない訳し方で訳す。
先程までみなが手を挙げていたのにリレー競争になった瞬間わかりやすく手を挙げなくなる。
らんはその状況に困った様子でまだ手を挙げていない人物を探す。
桃『 あと は 俺 と − 、__ さん と __ 、… と すち か 。 』
桃『 あと 二人 必要なんだけど … 。 』
らんは困ったという感情を身体で表現しながら考えを巡らせる。
桃『 ん − 、… 運動系 の 部活 が いいもんな … 。 』
すちは机に突っ伏している状態であるから、自分はもう気配がなく誰も相手にしていないと思っていた。
だがらんの脳裏に浮かんだのはすちであった。
桃『 すち ! 学年リレー 出てくんない ? 』
翠『 え 、 』
らんは気付けばすちの机の目の前まで来ていて、顔の前で手を合わせすちにとって断れるはずのない『お願い』をした。
すちは素っ頓狂な声をあげるが、それも束の間。
らんはすちの手を両手でギュッと握って強く目を閉じた。
翠『 … ぅ 、わかった … 、いい 、よ 。 』
クラス中の視線を一斉に受け、断れるはずもなく、らんの『お願い』を叶えた。
その答えを聞いてらんの桜色の瞳は咲き誇り、女の子のように飛び跳ねながらひどく喜んだ。
すちはらんのそんな姿を見るだけで癒された。
_『 でもよ − 、あと 一人 ど − すんの ? 』
一人の生徒がその疑問をらんに問いらんは当然のように即座に答えた。
桃『 俺 が 出る ! 』
驚愕する勢いでピンッと手を挙げて宣言した。
その勢いにクラスの誰もが賛成するしか選択肢がなくなった。
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立候補を決めた日から数日が経ち、すちは自身の出場する種目の練習に明け暮れていた。
野球部ではあったが走るのに自信はないため、他の立候補者よりも激しく練習をしていた。
そんなことをしているから体力が限界に達して影のあるベンチで横になった。
翠『 は − ゛ッ 、は − っ っ 。 』
翠『 水切れたし … 、 』
翠『 終わってる − … 。 』
紅色の瞳を霞ませて木漏れ日を視界に映す。
空になった水筒を振り回して大きく溜め息を吐く。
_『 だいじょ − ぶ か − ? 』
翠『 ぅ ぁ っ 、 』
聞き覚えのある声がすちの聴神経を通り脳に伝わる。
すちがその声の主の名前を呼ぶ前にすちの視界はぐっしょりと濡れた冷たいタオルで遮られた。
翠『 らんらん っ … ? 』
桃『 ぉ 、気 が 戻った 。 』
翠『 気絶してたわけじゃないから 。 』
桃『 ぁ − そ − でっか 。 』
ベンチに横たわるすちを見下ろすようにらんはタオルを取ったすちの視界に映り込んだ。
らんは自身の水筒を手に持ってすちの熱くなった頬に金属製の水筒の表面を優しくつけた。
反射的に声がでたすちだったが、すぐに身体を起こして隣にらんを座らせた。
翠『 … タオル 、らんらん の ? 』
桃『 そ − 、淡いピンク 、いいっしょ 。 』
翠『 そうだね 、らんらん に 似合う 。 』
触り心地のいい淡いピンク色のタオルを撫でる。
それからすちは少し汗ばんだらんの頬を優しくそのタオルで包み込んだ。
らんは目を点にして怪訝そうな顔をした。
桃『 すち が 暑そう に してるから 濡らしてきたんだけど 、すち が 使わんで ど − すんのって 。 』
翠『 … 俺 の ため ? 』
桃『 そ 、だって すち めちゃめちゃ 暑そうなのに タオル とか 持ってなさそ − だったから − 。 』
翠『 … わすれちゃって 。 』
桃『 熱中症なるわ 。 』
らんは少し強引にすちからタオルを奪い取ってすちの額や首筋などを優しく拭いた。
らんはすちがタオルなどの熱中症対策用品を持ってきていないことを叱責しながら自身の水筒を開けて蓋部分に麦茶を注いですちの目の前に差し出した。
翠『 ぇ 、 』
桃『 すち 今 水筒 空 やん 、ん 、これ飲んで 。 』
桃『 熱中症とかなったら 他の人 にも 迷惑かけちゃうでしょ 。 』
翠『 ごめん 、ありがと 。 』
らんに叱責されながら差し出されたお茶の入った蓋部分に口をつけてようとした時、
すちの脳裏に良からぬ考えが浮かんだ。
翠『 … あのさ 、別 に 変 な 意味 じゃないんだけど 、らんらんって この蓋 に いつも ついで飲んでるの ? 』
桃『 そうだけど 、今 それ関係なくね ? 』
桃『 はよ 飲め 熱中症 なる 。 』
翠『 ぁ あ 、っ うん … 。 』
らんはすちからの問いに即答を返しすちに早く飲むよう誘導した。
すちは赤くなった耳に気付かれないかを気にしながらゆっくりと蓋に唇をつけた。
渇いた喉は水分を欲していたようで、瞬く間に蓋の中に入っていた液体はなくなってしまった。
翠『 ありがとう 、これで 練習 頑張れるかも … 。 』
桃『 それは 良かった 。早く 練習しよ − 。 』
翠『 そうだね 。 』
空になった蓋をらんに返して感謝を口にする。
らんはすちの背中を押して練習を始める。
赫『 … … 。 』
茈『 なつ ? ど − したんだよ あっち見て 、サボりか ? 』
赫『 … いや 、別 に 。 』
遠くから二人の様子を黙って見ていたなつにいるまは声をかける。
なつはいるまに素っ気ない言葉を返し、練習を続ける。
赫「 は − ゛、も − クソ 。 」
あからさまに機嫌の悪いなつを傍観するいるまは呆れにも近い感情をもった。
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コメント
1件
あ〜第17話読みました…!すち、らんに水筒の麦茶もらうシーン、めっちゃドキドキした…蓋の間接キス意識しちゃうの、すちの気持ち痛いほどわかるし、らんが全然気にせず「はよ飲め」って言うギャップがまた良すぎる。最後のなつの不機嫌も気になる〜!続きが楽しみです🤍