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カッコいい乗用車に乗り込むとなおちゃんは「お待たせ。ところで麗三ちゃん、ハラペコかい?」と訊く。
「ううん、まだそんなに」
するとなおちゃん「そか、ちょうど良かった。海、見に行こうよ!」
(キャー! 嬉しすぎる!)
「わ~い! あたし、海を見るのがすごぉく好きなのよ」
「本当。嬉しいな。じゃ、行こう」
「はい!」
11月の海……オフシーズンの海は静かで、良い。
それでもサーフボードを抱えた人が遠くに二人見えた。犬の散歩をする女性。砂山を作って遊ぶボク。ボクを見守るママ。
「水平線……って、まっすぐだね」
目映い光の中で目を細め麗三が言った。
「当たり前なんだけどさ、なんて真っ直ぐ……」
しばし波風に身を任せる麗三。
「うん……麗三ちゃんみたい」
「え」
「麗三ちゃんは、まっすぐな心だね」
(キャ! どうしよう、ロマンチックで……あん! 嬉しいっ)
ギュッ!
……なおちゃんが、大きな手で優しく腰に手を回してきた。
麗三は、目を閉じて、右側に居るなおちゃんに、静かにもたれかかった。
「麗三……」
名前を呼び捨てで呼ばれ、なおちゃんの瞳を見た。
「あたし……」
「うん。オレも、ずっと前から、一緒の気持ち」
(えっ)
「好きだよ、麗三」
「うん。あたしの気持ち、わかってたの?」
「うん。みんなでLIVEに行った時にオレ……麗三のこと余計に好きになった。実は、リアルで出逢う前から好きだったんだ。だから、オレのほうが先に惚れちゃってたね、きっと」ニコッ。
照れて何も言えない。
でも……こんなに黙っている事が心地よい。
(こんな気分初めてだな)
謂わば百戦錬磨の麗三。25回も結婚をした麗三が、なおちゃんの前ではまるで少女だ。
波音に抱かれながら互いを包み込む二人。
「愛しています、なおちゃん……」
「麗三、好きだよ」
そうして二人の唇は、おひさまの転がる雫のもと重なった。
しばらくすると二人は海岸を少し歩いた。そして再び車に乗った。
「おなかすいた~!」
ガクー! ちょいウケているなおちゃん。さっきの今~?! って!
無邪気に漏らす麗三は、清楚なのか天然なのか、はたまた悪女なのか(?)
「うん、じゃレストラン目指すね!」とカッコいいナオちゃん。
そう、なおちゃんは見た目もセクシーで素敵なのである。モテそうだな、と麗三は感じる。
レストランに着いた。お店はなおちゃんの行きつけらしく「マスター、お任せで」とだけなおちゃんが言うと、シェフが「ハイヨ!」と答えた。
次々と運ばれてくるお料理はどれも見目麗しい。サラダのドレッシングのかけ方一つとっても芸術作品みたいだ。
「おいしいっ!」……と言うまで時間がかかった。おいし過ぎて。感動のあまり。そしていつもの倍以上に咀嚼したから。
「あは! 喜んでもらえて嬉しいよ、麗三。ところで麗三ってどんなお仕事してるの? これまで聴いたことなかったね」
(あ……どうしよう。嬢だなんて、ひかれちゃうかも、愛しのなおちゃんに……)
でも麗三は、バカがつくほど正直なのだ。それに、それで嫌われるならそれまでのご縁と諦める。いさぎよい女だ。
「ン……と、なおちゃんをびっくりさせちゃうかも。でもそのまま言うね。あたし、夜の蝶ならぬ昼の蝶なの。12時からの専属なんだ」
腹をくくり打ち明けたものの、フラれたらどうしようとなんだか、悲しい気分になりうつむく麗三。
「そうなんだ! うん……確かに、びっくりしちゃった。でもさ、麗三は朗らかで明るいから人気者だろうね」
少々取り繕う感じが否めないように見えるなおちゃん。
「オレはね、チェーン店のカフェの店長だよ」
「わ! 店長さんなの? なおちゃん、頼り甲斐があるものね。なおちゃんこそ、女の子達にモテそう」
「ううん、冴えない奴さ、オレは」
サラリと言うなおちゃん。
ギュ! 向かい合わせに座っていたなおちゃんの、テーブルに置かれていた小指を握った。
「そんな事ない、なおちゃん……。一緒に居るとときめきます」
頬を染め、はにかみながら告げる麗三。
「ありがと。そんな事言ってくれるの麗三だけさ」
そうして、またまた素直に自分の過去を話し、麗三はなおちゃんを驚かせた。
「に……25回も、結婚を!?」
「うん、そうなの」
固まったなおちゃんの表情を見た時、麗美は(しまった~、ファーストデートで話すような事じゃなかったよね!)と後悔。
ところがなおちゃんは、麗三の予想を裏切ってくれた。
「アハハハハッ」
目が点になる麗三。
「ごめん、ごめん、笑ったりして。オレの負けだ。オレは1回だけ、ね。……もちろん今はフリー、ン、じゃないぞ! 麗三だけだよ」
「あ……」
幸せで言葉を失う麗三。
二人のファーストデートはめちゃくちゃぶっちゃけたが、とってもハッピーなものだった。いきなりチューしちゃったし♡
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