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ー回想ー
“The League is dead; long live the United Nations!”
(国際連盟は死にました。国際連合万歳!)
俺の創設者の一人である人間が最後の総会での結びの演説をした際に言った言葉だ。
俺が用済みになる事は前々から決まっており、その時には別に悲しいとも何とも思わなかった。
現役時代の大きな責任からも解放されるしな。
だけど、その言葉を聞いた瞬間、「嗚呼、俺はこれからお払い箱になってしまうんだな。」と改めて思い、少し悲しくなった。
「こんにちは、国際連盟。私は国際連合です。」
「こ、こんにちは。」
総会を終えて廊下を歩いている時、突然挨拶をされ、振り返ると、国際連合と名乗る者が頭を下げていた。
国際連合って確か・・・俺の後継の機関の筈。
後、俺の弟だ。(一度も会った事は無く、お互い存在のみ知っているという状態。)
だが、そんな訳が無い。
その証拠に、此奴は俺と違って光り輝いている様に見える。
白いスーツをきっちりと着こなしており、目はやる気に満ちていて、うっすらと微笑んでいる。
所謂、「仕事が出来る奴」だ。
しかし、俺は、スーツを着崩し、目の下にはクマがくっきりと残っていて、鏡で見ていないので分からないが、恐らく疲れた様な顔をしている事だろう。
此奴は、俺とは全く違う。
繰り返すが、俺と兄弟な筈が無い。
そんな事を考えていると、国連が口を開いた。
「あの、国際連盟。一つ聞きたい事があるのですが、良いでしょうか?」
こんな役立たずでも、一応、機関としては先輩だ。
後輩の質問には、しっかりと答えなくては。
「国盟で良い。何でも聞いてくれ。」
「ありがとうございます。では、質問なんですけれど、私と国盟って兄弟関係だったんですか?上司(人間)に、『お前と国際連盟は兄弟だ。』と聞いたので、本当かどうか確かめたかったんです。」
「は・・・?」
「あ、聞こえなかったんですか?」
「いや、違う。ただ、お前の口からそんな言葉が出たから、驚いただけだ。」
「そんなに驚きますか?」
「嗚呼。さて、質問に対する答えだな。結論から言うと、私とお前は兄弟で、私が兄、お前が弟だ。だが、お前はこんな私と兄弟だなんて、認めたくなかったから、聞きに来たん・・・」
「そんな事ないです!」
喋っていると、国連が言葉を被せてきた。
「国盟の様な素晴らしい機関が兄で、嬉しくない筈がありません!ましてや、認めたくなかった、なんて思ってません!」
と、強い調子で言った。
「そうか。ろくに仕事が出来ない奴でもか?役立たずでクビにされた奴でもか?」
「はい。後、私は貴方が役立たずだなんて思ってませんから。きっと、生み出された時代(WW1とWW2の間)が悪かっただけですよ。」
その言葉を聞いていると、頬に雫が伝った。
嗚呼、涙か。
久しぶりに泣いたな。
きっと、久しぶりに温かい言葉をかけられて、嬉しくなったのだろう。
「大丈夫ですか・・・?ハンカチ、要ります?」
「いや、要らない。ありがとな。」
「分かりました。・・・あの、国際連合とか、お前とか呼ばずに、『国連』と呼んでくださると嬉しいです・・・。」
「分かった。これからもよろしくな、国連。」
ー現在ー
「ーーーとーーーーーが中々戦争をやめないんですよ〜(泣)」
今、俺は国連からの悩み相談を受けている。
結局の所、国連は「仕事が出来る奴」ではなかった。
いや、俺と同じで、周りの環境が悪かったのかもしれない。
その為、いつも倒れそうになりながら帰ってくるのだ。
この悩み相談も、以前、国連が自殺をしようとしていたと知り、俺が「仕事で辛い事があったら何でも話せよ。」と言って始めたものだ。
前に沢山慰めて貰ったから、今度は俺が恩返しをしないといけない。
そう思いながら毎回話を聞いている。
しかし、周りの国、酷過ぎないか?
毎回、話を聞きながら、その国をぶん殴ってやりたいという思いが強くなってくる。
勿論、政治に影響がない程度に。
そんな物騒な事を考えていると、国連が、
「お兄様ぁ〜助けてください〜(泣)」
と言った。
くっ、可愛い過ぎるだろ。
お兄様呼びは良すぎる。
自分がいつブラコンになったかは定かでは無い。
だが、一つ言える事は、「国連は可愛い」という事だ。
取り敢えず、今は国連を泣かせた奴を始末しよう。