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何を着ても目立ってしまうなら、いっそのこと何もつけずに……



って、私、何てことを!



バカなことを考えてしまった瞬間、急に頭の中にあの時の慶都さんの肉体美がフラッシュバックしてきた。



胸には皮下脂肪なんて全く無い、美しい腹直筋が浮かび上がっていて……



きっと忙しい時間の合間にトレーニングもしてるんだろう。



慶都さんの裸体に包まれたら、もう他の男性との抱擁は望まなくなる。



あ~ダメダメ! ここは保育園だよ!



子ども達がたくさんいるところで、全く何を考えてるの!



しっかりしろ、私。



裸の慶都さんを妄想してしまった自分が恥ずかしいよ、きっと顔が真っ赤だよね。



その時、雪都が理久先生と一緒にヨーヨー釣りにやってきた。



その近くでカメラを持って立ってた私に、



「せんせー、ヨーヨーする」



って、アピールしてきた。



理久先生に赤くなった顔を見られてないか心配になる。



「あっ、う、うん。好きなヨーヨー頑張って取ってね」



雪都は、私のことを保育園では「ママ」と呼ばずに「せんせー」と呼ぶ。



それがまた可愛くて、キュンとなる。



ねえ、雪都……



今、パパがここに来てるよ。



紹介はできないけど……あなたのパパだよ。



慶都さんは、雪都のこと気づくのかな?



そう考えるだけで緊張する。



「理久先生、ごめんね、ありがとう。雪都のことよろしくね」



「任せて下さい、僕も一緒に楽しんでますから。彩葉先生はカメラマン頑張って下さいね」



そう言って、ニコッと笑う理久先生。



そんな先生のことをファンのお母さん達があちこちから見てたりする。



相変わらずの人気者だな。



「さあ、雪都君。どれ狙う?」



「うーん、この青いの」



「いいね、これは綺麗な模様だね。じゃあ、ゆっくり取ってみようか」



「うん!」



理久先生の優しい声掛けが嬉しい。



2人で仲良くヨーヨー釣りを楽しんでるところをカメラに収めた。



無事に狙ってたヨーヨーが取れて、



「わーい、やったぁ!!」



って、本気で飛び跳ねて喜ぶ雪都の笑顔が可愛いかった。



その瞬間、はしゃぐ雪都の手からヨーヨーがスルッと滑り落ちた。



「はい、どうぞ」



「ありがとう」



大きな手から小さな手へ……



落ちそうになったヨーヨーを、優しくそっと差し出すその手は、慶都さんのものだった。



「君、雪都君?」



数秒、微笑みを浮かべ見つめてからの問いかけに、



「うん。そうだよ」



雪都は元気に答えた。



「そっか、良い名前だ。君は元気でいい子だね」



そう言われて嬉しそうにニコッと笑う雪都。



初めての2人のやり取り。



膝まづいて見つめる慶都さんの目は、穏やかで優しく、我が子を見守る父親の顔になっていた。



その光景を見ていたら、私……



思わず目頭が熱くなって、涙が溢れそうになった。



一生、この2人が対面することはないと思ってた。



私が父親役も頑張ろうって、慶都さんに会えるなんていう希望は持たないようにしようって、ずっと自分の中に想いを閉じ込めて、絶対開かないよう鍵をかけてきたのに。



なのに……こんな風に家族がひとつの空間に揃うなんて。

あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

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