テラーノベル
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あの飲み会以来、カイリュウを見ると「だいすき」と甘えてきたあの顔を思い出してしまう。
まぜべやの収録後、休憩の合間にセイトと談笑するカイリュウを眺めながらランに話しかけた。
「……ねぇラン」
「ん?」
「…カイリュウと2人で飲んだことあんの?」
「え?…なんで?」
「いや…」
ランは、あんなに甘えられた事、あんのかな。
…俺にだけだったりして。
酔ってたとはいえ、ランの「好き」をスルーしたカイリュウが、俺には「だいすき」と言ってきた。
なぜか”優越感”に浸っている自分がいて、
そんな事を考えていたら、無意識に言おうとした言葉を飲み込んでいた。
「こないだ、相当酔ってたからさ。毎回あんななら…大変だろうなって」
「まぁ確かに、俺もあそこまで酔ってるのは初めて見たかも…そういやセイトが言ってたな、酔うと結構甘えるタイプって…たっくんにもひついてたし、、?」
ジト、と俺を見るラン。
……へぇ、やっぱり甘えるタイプなんだ。
「いやまって?不可抗力やん、(笑)」
「わかっとるけどさー、やっぱ気になるやん…カイリュウ、甘えてきたりしとらんやった?」
「……してないよ、言ったやろ?気持ち悪いって言ってひっついてきただけやって」
ランが嫉妬するから。
ランの為、と言い聞かせて嘘をついた。
本当は、少しだけ、あの姿を教えたくないと思ってしまっていた。
***
新曲のダンス練を終え、メンバーが帰っていく中、セイトが「たっくんちょっとだけ教えて」と話しかけてくる。
いいよ、と返事をして、そのまま2人で練習室に残った。
「あ、カイリュウ来るって」
「え?」
スマホを眺めながらセイトがそう報告した。
カイリュウだけ別仕事でスケジュールが合わず、今日のダンス練は不参加だった。
「まだたっくんとやってるって言うたら、来たいって」
「…そっか、わかった」
セイトがいるからか、と考えたとき、なんかランみたいな事考えてるやん俺…と内心1人で突っ込んだ。
「……カイリュウってさ、酔うとどんな感じ?」
ふと、”カイリュウは酔うと甘えるタイプってセイトが言ってた”というランの言葉を思い出す。
「え?酔うと?みんなで飲んだこと何回もあるやん」
「その時は別に普通やん。ベロベロな時ってどうなんかなって」
「あ〜、まぁ、めっっっちゃ酔うたらやばいな。(笑)」
「どうなるん?」
「デレるなぁ(笑)」
「……セイトに?」
「いや?俺っていうかうーん、みんなに?」
「みんな…?」
「みんなの事褒めだすねん。ランはどうのこうの〜リュウキは〜とか(笑)」
「…ひっついたりとかは?」
「あ〜…俺とかはいつも一緒やからあんま来うへんけど、ほんまは甘えたいと思うてる人にはちょっといくかもな、(笑)」
ほんまは甘えたい人、、?
「……俺とか?(笑)」
「え?たっくん?あ〜、いくかもな〜(笑)」
少し特別な意味を持ったその”差”に、自然と口角が上がってしまう。
「…っごめん、遅なった!」
ガチャっ、とドアが空いて、息を切らしたカイリュウが入ってきた。
「お、カイリュウお疲れ〜」
「は〜、疲れた〜〜」
嘆きながら、膝に手をついて息を整えている。
「ダンス練できんの?(笑)」
「できるわ!なめんな!(笑)」
少し揶揄うと、いつもの強がりで返しながら準備を始めた。
***
「あ、ごめん…俺そろそろ約束あるから帰るな?じゃあ、2人ともおつかれ!」
そう言って急にセイトが帰っていき、練習室は俺とカイリュウの2人きりになった。
最近はずっとランと3人でいることが多かったから、内心少し緊張が走る。
「たっくん、もっかい最初から頼むわ、」
真剣なカイリュウの声に、集中を取り戻して頭を切りかえた。
「…あ、カイリュウ、そこ手もうちょい上に伸ばして」
「こんくらい?」
「このくらい」
カイリュウの腕を後ろから掴んで、理想の位置につける。
「…もうちょいしゃがんだ方がええ、?」
「そうだね、」
カイリュウが腰を低くしたとき、パンツの裾を踏んだのか滑ってよろける。
「あっ、ぶねっ、!」
「っ、大丈夫、?」
後ろにいた俺に寄っかかるように倒れそうになって、瞬時に支えた。
顔を覗き込むと、焦った顔をしながらも、大丈夫やと笑って俺を見た。
その距離感と、身体が触れている事であの時のカイリュウが頭に過ぎり、思わずじっと顔を見つめてしまう。
「……な、なんやねん、?恥ずいって、」
「…っあ、…ごめん、」
手を離すと、体勢を整えるカイリュウ。
見つめられて恥ずかしかったのか、少し耳が赤くなっているのに気付いて、可愛いと思わずにはいられなかった。
***
「あ〜!も〜無理動けへん…」
ひと通り練習が終わると、疲れ果てて床に寝転がるカイリュウ。
「おつかれさま」
買ってきた飲み物を頬に付けると、冷たっ!と言いながら頬を抑え、お!あんがとっ、とニコッと笑い受け取った。
ランが常に言う、”可愛い”をどんどん理解している自分がいて、少し怖くなる。
「今日はランはおらへんやったん?」
「…なんで?」
「いや、いつも大抵遅くまでおるからさ…頑張り屋さんやから、ちょっと心配やけどな」
突然ランの名前を出して、顔を思い浮かべているような表情をするカイリュウ。
ラン、カイリュウがお前の事考えてるよ。
言ってあげなきゃな。喜ぶだろうな。
頭ではそう考えても、ちく、と何故か小さく心に棘が刺さる。
「あ〜、腹減ったぁ〜…」
寝転がりながら、お腹を触るカイリュウ。
そんなカイリュウを見て、一瞬ランが頭を過ぎるも、口から言葉が出た。
「飯行く、?」
「おーええね、行こや、奢り?(笑)」
俺の言葉に身体を起こして、首を傾げながらそう聞いてくるカイリュウが可愛く見えて、しょうがないな、と笑うと、よっしゃ!とガッツポーズをして喜んだ。
***
「うまっ!!こんな美味いとこ知ってんならはよ言えやたっくん!!」
俺が好きなラーメン屋に連れて行くと、食べた瞬間大きいリアクションでうめぇ〜!と美味しそうに麺を啜るカイリュウ。
子供みたいに嬉しそうにするのが可愛くて、思わず眺めていると「麺伸びるで?」と突っ込まれる。
「ここよく来んの?」
「あ〜うん、来るね。セイト…と、よく来るよ、」
セイトの名前を出した時、なぜか、”あ、名前出しちゃった”と一瞬だけ後悔しながら、言葉を続けた。
セイトの名前を出したら、セイト?と、カイリュウからセイトの話ばかりが出るような気がして。
「ほーん、そうなんや」
俺を見もせず、そう相槌を打って箸を進めるカイリュウ。
…え?そんだけ、?
いつもなら、うわ〜!あいつ好きそうやな〜!とか言って、延々と続くとこなのに、
「てかこれ絶対ラン好きやろな〜!あいつこういうの好きやねん、来たことあるんかな…今度教えたろ、」
「ラン、?」
また、”ラン”と名前を出すカイリュウ。その名前を出す時、どこか嬉しそうで、どこか愛おしそうな目をする。
いつの間にか、カイリュウの中でセイトよりもランの存在が大きくなっていることに気付いた瞬間だった。
あんなに「セイトが羨ましい、セイトになりたい」と言っていたランが、今は1番上にいる。
もう、フラグ立ってるやん。
あいつ、さっさと告白すればいいのに。
2人はまだ無理、とか言ってる場合じゃねぇだろ。
そんな事を考えていると、ポケットの中のスマホが振動した。取り出して、通知を確認する。
『ラン:たっくん、ちょっと相談したいことがあるんやけど、聞いてくれん?』
ランからだった。
相談、多分目の前にいるカイリュウの事だろう。
通知を見た後、美味しそうにラーメンを食べるカイリュウを見る。
ここまで近くなってんなら、告白の相談かもな。
ついにそこまで来たのか、あー、…俺、頑張っちゃったな。
頑張っちゃった、?って、なんだ。
なんか胃がむかむかすんな、今日はラーメンキツかったかも、
「たっくん、どないしたん?」
動きが止まっていた俺に、声を掛けてくる。
「ああ…っ、いや、?」
スマホを握ったまま、曖昧な返事をする。
ランに、2人きりでいるのを見透かされているような気がした。
今、ランを呼べば、飛んでくるだろうな。
そしてまた甘い空気になれば、帰り道に告白、なんてのもアリじゃん。
「…たっくん、今日付き合ってくれてありがとな、?」
「…え、?」
頭の中でぐるぐるいろんな事を考えていると、急にカイリュウが落ち着いたトーンで話し始めた。
「たっくんがおらへんやったら、俺、ほんまにやばかったわ、(笑)」
そう、照れながら、少し困ったように笑う。
ダンスの事を言っているのは分かってる。
……でも、今、そんな事言うなよ。
俺を、必要としないでよ、
「……ラン、おったら良かったな?」
試すような言葉を放つ。
踏みとどまるための、言葉。
「ラン、?なんで今ラン、?(笑)たっくんの事言うてんのに、」
ランを置いて、俺に戻すカイリュウの言葉。
なんてことない言葉なのに、今の俺には効いてしまった。
握っていたスマホをポケットにしまい込み、
ずっと頭の片隅にあったものが口から出るのを止められなかった。
「っ……あのさ、カイリュウ」
「ん?なん?」
「こないだ、俺とランと飲んだ時のこと、…覚えてる?」
「…………っ、や、…覚えてへんな、、っ」
少し間が空いた後、覚えてないと言いながら俺の方を見ず、ラーメンを食べ始める。
明らかに動揺した言い方。その反応を見たら、追求せずにはいられなくて。
「覚えてるだろ?(笑)」
「っ……、なんて言うたかは、覚えてへん…けど、…たっくんに何したんかは、なんとなく……」
そう言いながら、俺を見れないまま、少し顔が赤くなる。
その姿を見て、思わず下唇を噛んだ。
ああ、その顔。
もっと見たい、知りたい。
沸き上がる欲。
「言ってやろうか?(笑)」
「はっ?!/い、いらんねんアホっ!」
「俺の事大好きって言いながら、しがみついてきた。(笑)」
「〜っ///、も…っ、そんなん、酔うてたんやからしゃあないやろ…っ、忘れろそんなもん…!」
耳まで赤くして目を泳がせる。
あ〜、、……うん。
もうだめ。可愛いわ、これは。
忘れろ、なんて、無理やろ。
「……普段思ってるから出たんじゃないの、?」
「えぇ、っ、?」
「実は俺の事大好きなんじゃない?(笑)」
頬杖をつきながら、からかうように言ってみる。
内心、その言葉を聞きたくてドキドキしながら。
「いや…っ、そりゃ、それはそうやで?リスペクトあるしなっ、?/…素面で聞くのずるいねん……恥ずっ、、/」
照れながらも素直に認めたカイリュウに、心臓が高鳴った。
頭で冷静でいようとしても、身体が正直に反応して困惑する。
「っ…、ありがとうね、(笑)」
「いや…まぁ照れてもうたけど、ほんまにたっくんリスペクトしてるからな?(笑)ダンスめっちゃ綺麗やし、教え方も上手いしなぁ…俺がないもん持ちすぎやねん、ほんま。ちょっとくれ!はははっ、(笑)」
「っ…、」
あんなに照れてたくせに、しっかり褒めてきて、 俺の事そんな見てくれてたんだ、という気持ちと、可愛い笑顔に思わず胸がきゅんとなる。
「あ、でも別にそんなん、みんな思てるからなっ?!たっくんだけやないしな?!/勘違いすんなよ!(笑)」
「……っ、いや、わかってるって(笑)」
照れ隠しでそう言うカイリュウの言葉が、分かってると笑いながらもスルーできずに突き刺さった。
もう遅いよ、勘違いしちゃったもん。
俺だけだって、言わせたくなっちゃったじゃん。
ああ、もう、抗えないかも。
「たっくんほんまにありがとな〜、じゃあまた明日な〜?」
ラーメン屋を出て、手を振りながら帰っていくカイリュウを眺めた後、スマホを取りだした。
少し悩みながらも、ランにLINEの返事を送信する。
『ごめん、やっぱり協力できなくなった』
夜風の冷たさと緊張で、手が、震えていた。
コメント
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最高なシチュエーションすぎて死んでます🫠このまま進むのワクワクしてたけど、川縁氏と結ばれて欲しい願望が…🥺
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