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11歳の蒸し暑い夏。

僕と兄さん、いや。有一郎は地獄の淵を立った。暑くて眠れない時、僕は鬼に襲われかけた。でも兄さんに助けられ、僕は何とか生き残ったのだ。


兄さんも僕を守ったせいで左腕を負傷したが、奇跡的に生き残った。だが、1つ問題がある。兄さんが記憶障害になってしまったのだ。


当時、その事を聞いて、急いで元へ駆けつけた。自分の傷は気にせず、とにかく兄さんに会いたかったからだ。


「兄さんっ!!!」


襖を開けると、兄さんはベッドで横になって、虚ろな目で天井を見上げていた。


「…む、いちろ」


「…兄さん?」


記憶障害と聞いていたのに、僕の事は何故か覚えているらしい。あとから詳細をあまね様から聞くと、僕の事は覚えていても、家族のことや自分の名前が分からない、らしい。何故僕のことだけ覚えているのかは分からない。


数日後。僕はまた兄さんの元へ行った。


「兄さん。自分の名前が分からないって聞いたよ。兄さんはね、有一郎って言うの。無が有になっただけだよ」


「ゆう、いちろう…?」


「そう。有一郎。」


「……そうか」


兄さんはそう答えると、そっと目を閉じて寝てしまった。





おれはの名前は、時透ゆういちろう、というらしいです。おれは、無一郎の兄。

でも、何故かおれは新しい記憶や自分のなまえがわかりません。おしえられても、すぐに意図がぐちゃぐちゃになるかのように絡まって、すぐわすれてしまうのです。


おれはあいつの兄だから、ちゃんと俺がしないといけないのに。でも、どうしておれはここにいるんでしょうか。早く、家に帰りたい。でも、おれの父さんと母さんのなまえって、なんだっけ。

、あれ?おれの名前、…なまえは?


きょう、むいちろうがおれの名前をおしえてくれました。なのに、もうわすれてしまって。考えるのがつかれたから、おれはそっと目を閉じました。


何時間かしたころ、おれはそっと目をあけました。なんだか、ゆめをみていた、ような。

いいゆめなのか、わるい夢なのか、もうわかりません。おれは、記憶力がわるいのです。






兄さんが治療中の2ヶ月の間。僕はあっという間に柱になった。


さらに二ヶ月後。兄さんが全回復して、蝶屋敷から帰っていい、という指示が出た時。

僕と有一郎は一緒に僕の屋敷に住むことになった。


「兄さん、ここが僕のお家だよ。」


「…俺達は、こんなにでかい所にすんでたのか?」


「…いや、元々は違うよ。ぼく、柱になって屋敷を貰ったんだ。」


「鬼殺隊に、なったのか?」


「うん。そうだよ。」


「お前が鬼を倒せるわけない」


「…え?」


「おまえは、俺よりもよわいから、そんな所に行くな」


「兄さん、?僕はもう兄さんより立派になたんだよ。だから、もう兄さんに守られなくていいんだ。」


「……?」


さっきまで話していたのに、もう僕が話したことを忘れたらしく、兄さんは首を傾げた。






屋敷で過ごして3ヶ月後。

難点がある。最近、噂が広がっているのだ。昨日は任務に行っていないのに、任務に行った、という連絡が来たし、たまに無一郎は記憶力が悪い、という連絡も入っている。


僕の記憶力はそこそこいい方だし、何かがおかしい。それに、昨日は任務に行っていない。嫌な予感がして、ぼくは有一郎と話し合いをすることにした。


「兄さん、鬼殺隊に入ったの?」


「嗚呼。」


僕は目を開いた。まさか。なんで?僕がいない間に鍛錬をしていたのかもしれない。そもそも左腕がないのに、鬼殺隊に入るだなんて危険すぎる。


「どうして!?」


僕は大声を出して、有一郎の目を見た。


「…むいちろうを、守るため。」


「本気で言っているの?兄さんは左腕が無いんだよ。」


「おれは、お前がいない間にたくさんたんれんをして、強くなった。お前ひとりだけだとしんぱいだから、俺もはいることにしたんだ。左腕がないけど、おれは、みとめてもらったから、おまえみたいに任務にも行っている。」


「……認めてもらったって、誰に?」


「…お、……」


名前が思い出せないのか、兄さんは1文字だけ言って、しばらく黙ってしまった。


「御館様?」


「その、ひとだとおもう。」


「…ごめん、ちょっと僕出かけるね。」


僕は兄さんを置いて、外に出た。





「御館様。お願い致します。兄さんに鬼殺隊をやめて欲しいんです。」


僕は土下座をして御館様にお願いをした。

御館様は優しくてうっとりした声で、


「…顔を上げなさい。無一郎。」


「はい、……」


「私もね、有一郎にやめてもらうように、1度最初伝えたんだ。でも、止められなかった。有一郎の想いは、無一郎と同じだよ。」


静かに微笑むその姿に、僕の心は小さな抵抗を覚えた。どうして、僕の声を聞き入れてくれないのだろう。結局お館様に頷いてしまった。








おれは、あいつが鬼殺隊にはいっているときいて、びっくりしました。あいつが鬼を倒せるわけない。あいつは、おれより弱いのです。だから、兄さんのおれがまもらなくちゃいけないのに。…いけないのに、さいきん、おれのしっている弟ではないんです。むかしはもっと、幼かった気がするのに。


おれも無一郎をまもらないといけないと思い、ないしょで鬼殺隊にはいりました。

おれは、必死に訓練をして、左腕がなくても、倒せるくらいになったころ。おれは普通に任務に行くようになりました。


結局はその事がばれてしまい、ため息をつかれたけれど、無一郎はおれと一緒に任務をするのであれば、と了承してもらったのです。


いつものように、任務をしてかえるとき。

俺は自分と似た黒痛い隊服を来た人と出会いました。そういえば、この人たちは俺たちと同じ仲間だと、無一郎から教わったっけ。

ぼんやり考えていると、その人達が俺に話しかけてきました。


「あっ、時透。お前って確か双子だよな。どっちなんだ?」


黒ずくめの人たちは、双子というものが珍しいのか、よく話しかけてきます。大抵、返事が遅れるので何処かに行ってしまうことが多いのですが、こうして返事を待ってくれる人もいます。


どっち。どっちって、なんだろう。このひとたちは何を聞いているんだろう?

よくわからなくて首を捻ると「ほら、名前」と男はにこっと笑います。

「なまえ。なまえ…?」

おれは頭の中がぐちゃぐちゃになっていきました。つい先程話したばかりなのに、おとこが何をききたいのか、たった今何を話していたのかわからなくなってしまいました。

けれど、わからないときは、って、無一郎に教わったことがあります。

 たしか、こう言えば…。

「……むいちろう……」

「そっか、あんたの方か。悪かったな、見分けがつかなくて」

  頭が痛くなってその場に立ち尽くしていると、男たちはどこかに向かって「やあ、ユウイチロウ」と呼んで、行ってしまいました。

「うん。それじゃあ、またね」

 聞き慣れた声がします。

 静かに近寄って、肩を叩いたのはおれの弟でした。

「……無一郎?」

「うん」


 おれは頭を押さえながら、立ち止まってしまいました。

「むいちろう。おれは、……俺は、また、 忘れて、、、……」

 すると、一度無一郎は固まって、大きな目でおれをみつめて動きませんでした。

 俺は、それが、とても恐ろしくて、息が苦しくなりました。

すると、おとうとは懐かしいような優しい眼差しで、子どもに語りかけるように微笑みます。

「忘れてもいいよ。咄嗟に声が出なかったら、『無一郎』って名乗って。名前くらいあげるから。…ふふ、そしたら僕がユウイチロウになっちゃうね」

「ゆう、いち、ろう」

「うん。有一郎」

「だいじに?」

「うん。大事な人の名前だから」

「だいじな、なまえ」

「……うん」

「お前の、大事な人、か」

「そうだよ」

「じゃあ、おれも……」

俺も、大事に。

そう言いかけて、何かおかしいことに気付きます。 恥ずかしくて、顔から火が出てしまいそうなほど熱くなって、俺はふと気付きました。

「ゆう、いちろう、って」

「うん」

「それって、あの、……えっ?」

「……うん」

「おまえ、まえに。たしか、ええと。ゆう、有一郎って……お、おれのこと、か……?」

 無一郎は、にこにことして頷きます。

もしかしたら。もしかして、こんな会話を、俺は何度も何度も繰り返しているのかもしれません。「もう、兄さん分かってくれてるのかなぁ」と、弟も呆れ顔です。


「ねぇ。兄さん。もし僕が死んだら、兄さんも死んでくれる?」


「おま、えが?」


「うん。」

「しんだら…」

なぜ、弟はきゅうにそんな事をいうのでしょうか。そんなこと、いわないでほしいのに。

でも、俺はお前の兄なのです。だから、俺は、何処までも、いっしょに。

「いたい。」

すると弟は、すこぶるうれしそうにして、微笑みました。

「ね、兄さん。大好きだよ」

「……おれ、も、」

こういう会話って、こいびとがすること、じゃないのか。そういう想いが頭に思い浮かんでしまいましたが、上手く言葉を思考につなげられなかったので、それはだまっておくことにしました。

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