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「……わぁぁっ…!」
私は姉の作る人形が好きだった。姉は手先が器用だから、熊、犬、ゾウなどの人形をあっという間に作り上げてしまう。
「お姉ちゃん。仕上げ、仕上げは!?」「はいはい。いまからやるよ〜。」
そう言いながら姉が取り出したのは、魔導書。とても分厚い本だ。大量のページから、予め印を付けておいたページを開いた。
「ドール・イッツ・スピークワールドッ!」
呪文を唱えたら、あら不思議!
「キュッ、キュッ!」
人形が動き、鳴いているではありませんか!
「わぁぁぁ!可愛いなぁ〜…♡」
そう言い、私は人形を抱き上げた。
「キュキュッ!キュピッ!」
人形が私の手をギュッと握った。「…あっ、そろそろ…」
姉が言い終わる前に、人形がクタン…と動かなくなった。
「も、もう時間切れぇ!?お姉ちゃん!もう1回!もう1回‼️」
「ダメだよ、これ以上やったらワタシが倒れちゃう。」
「えぇ〜…!………わかったよぉ…」
渋々言うと、姉は困ったように笑った。
そんな幼少期だった。
「……お姉ちゃん?何処ー!」
私はカナエ。姉と2人で暮らしている。だけど、
「お姉ちゃーん!……居ない…?」
今日起きたら、昨日まで一緒に過ごしてた姉の姿が消えていた。
「……怪しいのは…」
怪しいのは、姉が寝ていたベットに横たわっている人形だ。
「……昨日まで無かったもの。怪しい…」
少し乱暴に人形を掴んだ
「キュッ!」
そんな鳴き声がした。と、同時に手の中で暴れている…人形。
「わぁっ!!」
慌てて離すと、人形は綺麗に床に着地した。
「に、人形が、動いた…?」
人形が動く…幼少期に姉に良くやって貰ってたなぁ…。
…じゃぁ、姉が人形を置いてったのかしら…?でも、それだととっくに呪文の効果が切れてるはずなのに…「……ねぇ、お姉ちゃんが何処に行ったか…知らない?」
怪しい事には違いなかったが、証言者にも違いない!
「キュッキュッ!」
「……な、なんて喋ってるか分からん‼️」
そうだった!人形だから「キュッ」とかしか話せないんだった…!
「どうしよう……!そうだわ。」
私が立ち上がると、人形が不思議そうにしていた。
「家には居ない。なら、外で聞き込み調査よ!誰か姉を見てるかもしれないし…!」
「キュ〜。」
「あっ、言い忘れてたけど、アンタ(人形)も連れてくからね…!」
「モキュ!?」
ちょっと驚いてるみたいね…。横目で確認しながら髪を結んだ。
「さて、アンタは…逃げないようにコレね。」
そう言って、私が取り出したのは縄。首に結んでリードみたいにする。
「…人形だし……苦しくないわよ…ね?」
ちょっと不安になりながら結びつけた。
「キュッ!」
苦しくはないみたい。
「よし、準備万端ね。」
ドアノブに手をかけた。
「……行ってきます。」
バタン。