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魔法演習場で、アンナ先生とエドウィン先生が静かに火花を散らすさなか。
俺たちA組とC組の生徒たちの前に筋骨隆々の男性が現れた。
「よく来たな! 俺が実技担当のゴードンだ! お前らも、早くムキムキになって、立派な魔法使いになるんだぞ!」
顔に大きな傷のある教師、ゴードンがガハハと豪快に笑う。
「さて、まずは遠距離魔法の精度試験だ! あそこにある百メートル先の的を魔法で射抜いてみせろ!」
百メートル。
現代の学生にとっては、それが遠距離の基準らしい。
今朝がた、俺は数キロ先のドラゴンを撃ち落としてきたばかりなんだが。
「『火の玉』! ……よしっ! 何とか的の端に当たった!」
次々と生徒たちが杖の先から魔法を放ち、的を焦がしては喜びの声を上げている。
そんな中、レニールは自信満々の様子で杖を取り出す。
「はははっ、お前ら! 的に当てるだけで満足してるのか!? この大魔法使い候補レニール様の魔法を見てろよ!」
レニールは自慢の『赤の紋章』で『大火球』(という名の魔力浪費の塊)を放ち、的を粉砕する。
「どうだぁ!」
「うぉぉ! すげぇ!」
「流石は赤の紋章!」
「レニール様、流石ですわ!」
A組の周囲から惜しみない称賛を浴びていた。
「チッ、おいこっちも的破壊しろ! いや、もう校舎ごといけ! こんな学校破壊しろ」
レニールがチヤホヤされている様子を見て、アンナは先生としてあり得ないことを言う。
俺が他の生徒たちの様子を眺めていると、レニールがニヤニヤしながら取り巻きらしき男女の生徒たちと共に俺に近づく。
「おやおや? ラティス、体調でも悪いのか? まだ的当てをしていないみたいだが~?」
「レニール様、きっとコイツできないんですよ!w」
「悔しくないのかしら? 弟に抜かされる兄なんてw」
そして、飽きもせずにゲラゲラと笑う。
仕方がない、俺もやるか。
立ち上がって的の前に立つと、レニールたちが周囲に人を呼ぶ。
「おいみんな~、ラティスが的当てやるらしいぜ~」
「お前じゃ、的まで届かねぇだろ~」
「ていうか、お前杖は? 杖出さねぇと魔法出せねぇだろ」
「杖……そういえば持ってないな。必要なのか?」
俺の質問に、またドッと笑いが起きる。
「杖なしで打てるわけねーだろ!」
「ダメだこりゃ、魔法紋章以前の問題じゃねぇか」
「恥かく前に早退した方が良いんじゃねーか?」
俺は「お前らはまだそんなモノが必要なのか?」という意味で、学生たちの魔法レベルを知るために聞いたのだが……。
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