テラーノベル
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「いただきます。うわっ、このお肉すごく美味しい。想像以上だよ」
「確かに最高だな」
「龍聖君、私が焼くからどんどん食べて」
「いいよ。今日は俺がホストになる。お嬢様、さあ、どうぞ」
「えっ、あ、ありがとう。本当にいいの? でも……嬉しい」
ホストだなんて、違うよ。
龍聖君は、かっこ良すぎてクラクラするくらいの正統派の王子様。その見た目の全てに心を奪われる。
トングを使ってお肉を手際よく焼いてくれる龍聖君の手。細くて長い指、ほんの少し筋張った手の甲が妙に色っぽくて……
目の前で私のためだけにお肉を焼いてくれてるこの人は――私の旦那様。
今だけは、龍聖君の言葉に甘えてお嬢様でいさせてもらおう。本当に、贅沢過ぎる幸せな時間だ。
「できた、はいどうぞ」
「ありがとう。龍聖君、お肉焼くの上手なんだね。焼き具合が絶妙だよ。柔らかくてすごく美味しい。ねえ、龍聖君も食べてみて」
「ああ。うん、本当だな、ここのお肉はどれも美味しんだな。他にも何か注文しよう。俺、冷麺食べたい」
「いいね。じゃあ、私は……卵スープにする」
「それもいいな」
龍聖君、まるで高校時代に戻ったみたいにはしゃいでいる。もちろん私も。
毎日仕事漬けで疲れているはずの龍聖君のこんな楽しそうな顔……見ていてホッとする。
なぜか急に高校時代の思い出が蘇り、さらに今の龍聖君との時間も独り占めできて……
この時間がずっと続けばいいのになんて、厚かましいことを考えてしまう自分がいた。
「それ、卵スープちょうだい。冷麺食べてみ」
「えっ、う、うん。ありがとう」
龍聖君が私に冷麺の器を差し出した。
私も卵スープを渡す。
交換する時の緊張で少し震える手、龍聖君にバレていなければいいのだけれど。
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